長い間、気づけなかった。
過信していたのかも知れない。
何気ない言葉で、あなたを傷つけてしまっていた。
おそらく何度もだろう。
言葉の真意がいつも正しく伝わるとは限らない。
曲解されることも、することもあるだろう。
あるいは言葉足らずだったのかも知れない。
どう考えたとしても言い訳に過ぎない。
傷つけた事実は変わらない。
伝わらないことが、こんなにも寂しいとは。
思いがすれ違っていたことに
驚く以上に怖くなった。
誤解を恐れて慎重に言葉を選んでいたら
何も言えなくなった。
言葉にしなければ何も変わらないというのに。
わずかな風で水面の木の葉が遠ざかるように
あなたの心がゆっくりと音もなく離れていく気がした。
やり直したいのに、分かり合いたいのに
心を閉ざしてしまったあなたには
眼差しさえも届かない。
ただ空回りするばかり。
近くて遠い存在。
今できることは、待つことだという。
時間が必要なのだと。
いずれ分かり合える時が来ると。
もどかしいけれど、寂しいけれど
その言葉を信じて待ち続けよう。
いつの日か
あなたが俺の前に立ってくれるまで。
たとえそれが来世だとしても。