椎野直弥さんの「僕は上手にしゃべれない」
これは吃音のある著者が、吃音のある中学生男子を主人公に書かれたものです…
今、小5の長男のこの先を思うと不安しかなくて、その不安のまんまに読んでどっぷり落ちました。
中学に進学し、必ずある自己紹介という第一関門で早くも躓き、しかしそこから自分を変えようと放送部に入るとこから物語は始まります。
放送部なんて吃音のある人からしたら、ハードル高過ぎでしょー!!
私は滑舌良いので、小学校中学校と放送委員やってました…
運動会のアナウンスがやりたくてってのが、やっていた理由でもあります。
滑舌の良い私が生んだ子どもが吃音って不思議です…
さてさて ネタバレ ありますので、まだこれから読まれる方は ご注意を!!
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主人公 悠太は中学校に入学します。
悠太は自己紹介で躓きます。
翌日、部活勧誘で『部員大募集中です。しゃべることが苦手な人でも大歓迎。発生の方法など丁寧に教えます。練習すれば、あなたも必ず上手にはっきりと声を出せるようになります』という放送部のチラシを手にします。
悠太はお姉ちゃんから「あんた、ずっとそのままでいいの?」と、自己紹介で躓き逃げたことを責められます。
お姉ちゃんからしゃべる機会を増やす努力をしなさいと言われますが、自分の気持ちを理解してもらえないと嘆きます。
それでも変わりたいと放送部への入部を考え始めるのです。
放送部で3年生の立花先輩とクラスメイトの古部さんに出会いました。
廃部寸前の放送部。
うまくしゃべれない悠太は周りに迷惑をかけるかもと入部をやめようとします…
そんな悠太に立花先輩は「一歩踏み出してみない?」と言ってくれるのです。
古部さんは「しゃべる仕事は、私が全部やる。」と言ってくれました。
古部さんとの部活はアニメの台本の読み合わせ。上手にセリフを言う古部さん、つっかえてしまう悠太。
いつしか、苦痛になります。
お姉ちゃんからも叱咤激励を受けるのですが、普通に話せるから自分の気持ちがわからないんだと怒りをぶつけます。
しかし悠太はお姉ちゃんの苦悩を知ることになります。
お姉ちゃんが中1で演劇部の劇で演じた役は、吃音のある役で周りから笑われるというものでした。
お姉ちゃんは自らその役を申し出ますが、本番当日吃音を演じることなく、セリフを言いました…スラスラと。
それが元で顧問の先生を怒らせて、部員からも無視をされるようになり、それでもお姉ちゃんは演劇部をやめることなく続けたのでした。
お姉ちゃんにも苦悩があったのだと初めて知るのです。
そしてお姉ちゃんから言われます。
将来仕事に就けなくても、私が一生養ってあげる…
守ってあげるからと…
お姉ちゃんが無視をされながらも演劇部をやめなかったのは、悠太のおかげだと告白します。
あの日の劇を観た悠太が台本を欲しがり、練習したら吃音が治るかもと、そう言ったことがお姉ちゃんにはとても嬉しかったのです。
だから、今度は悠太のためにとお姉ちゃんは言いました。
悠太は自分のことを真剣に考えてくれている人がいることに気づくのです。
古部さんもそのひとりでした。
吃音でいじめられていた過去があり、いつしか治った吃音。
悠太もきっと良くなると、古部さんが考えて接してくれていたことを知るのです…
弁論大会に悠太が出なくて済むよう配慮してくれていた顧問の先生=担任。
自分の周りには優しい人がいたことに悠太は気づくのです。
そして、悠太は弁論大会に出ることを決意します!!
弁論大会では悠太の喋り方に会場がザワザワしますが、立花先輩やお姉ちゃんの声や司会の声に静かに聞いてもらえました。
吃音が出ながらも、一生懸命に自分の吃音について話す姿。
終わってから、たくさんの拍手をもらうことが出来ました…
新たな日常が始まります。
でも前より、自分の悩みである吃音と向き合い、しっかりと歩き出した悠太がいました。
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吃音がある
ただ、それだけで人生真っ暗だった悠太。
吃音がない人は悩みがないと思っていた。
吃音がなければ、幸せだと…
でも実際はそうでもない。
大小違うが、みんな多かれ少なかれ何かしらに悩んで生きている。
その悩みをサポートしたい!
そう思う人がそばにいる。
真剣に考えてくれてる人がいる。
ひとりじゃないよ。
一緒に歩こうとしてくれる人がいることに気づいて欲しい!
長男が進学や就職で、吃音が足かせになることがあっても…
腐らないで欲しい。
わかってくれる人がいるはずだから…
いや、わかって欲しい。
そんな風に思いました。
小学校高学年くらいから読める内容だと思うので、小中学校の図書として個人的にオススメしたい本です!