上昇気流にふわっと乗れば、たちまち体は大空へ。鳥たちの飛翔感を楽しむ絵本をご紹介。



『Everybody in the Tree』 作・絵 Andre Dahan

ブランコを思いっきりこいで、ぽーんと宙に投げ出された赤ちゃん。

大きな木のてっぺん、柔らかい葉っぱのクッションに、ふんわり抱きとめられます。

驚いて泣き出すと、鳥たちが食べ物をくれたり、布団をかけてくれたり。

赤ちゃんを捜していた家族のみんなも、鳥に呼ばれてやって来て、こりゃいい心地だとひと休み。

さあ、これからどうやって家に帰ろうかな?

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『Owl Babies』 作 Martin Waddell 絵 Patrick Benson

真っ白なふくろうの子どもが三羽、お母さんの帰りを待っています。

お母さん、えさをとりに行ったのかな。

きつねに捕まったりしないかな。

不安になって巣穴の外に出てみると、月の光がかすかに届く森の中は、しんと静まりかえった別世界。

奥行きのある、考え抜かれたアングルが、夜の空間の広がりをみごとに伝えます。

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『The Dove』 作 Frederich Recknagel Vlasta Barankova

銀の国の王様が、金の国の王様に手紙を出します。

「七日以内に国の名を、鉄の国に改めろ。でないと兵隊を送るぞ。」

立派かそうでないかを決めるのは、名前ではなく行いだ。

金の国の王様は、仲直りの手紙を白い鳩に託します。

古いタペストリーのような絵が、遠い中世の気配を香らせる一冊です。

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 これは1995年5月に、あるリーフレットに掲載されたレビューです。

再録にあたり、一部加筆修正しました。

これは、あるテーマを選んで、会社の倉庫からそれに合う作品を探してきて、レビューにするという流れで書かれました。

前回が「自然」、今回は「鳥」がテーマです。

なぜそういうテーマにしたのか、もう覚えていません。

一作目の『Everybody in the Tree』は、現在ウェブ上では見つからないようです。

表紙の画像を持っていたので、アップしてみました。

三作目の『The Dove』は、倉庫の片隅に埋もれた、ものすごくマイナーな作品だった覚えがあります。

絶版になってかなりの年月が経ったせいか、こちらもウェブでは見つかりませんでした。

 

手持ちに画像もなかったので、今回はレビューのみです。