初めて「ふたごの絵本たち」というアイディアを思いついたのが、この『リディアのガーデニング』とその原書『The Gardener』を読み比べたときでした。
正確には、まだ翻訳が出る前に、先に原書の方を仕事で読んで、なんていいお話なんだと思っていました。
それで、翻訳が出たときに、どんな仕上がりになってるのかな、と興味を惹かれて、読んでみた訳です。
かいつまんでストーリーに触れておきましょう。
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1930年代のアメリカ、大恐慌の影響が色濃く残る時代です。
女の子リディアが両親の都合で、都会にあるおじさんの家に、預けられることになります。
リディアは、とっても明るく元気な子。
おじさんはいつも、苦虫をかみつぶしたような顔をしてますが、リディアはそのおじさんを驚かそうと、屋上にたくさんの植物を育てます。
そして、おじさんの誕生日に、そこへ招待するのです。
目を丸くするおじさん。
その後、めでたく両親のもとへ帰ることになった日、列車に乗る前におじさんがリディアにしてくれた、ある思いがけないこととは?
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今でも、このラストシーンを思い浮かべると、涙が出そうな感動を覚えます。
お話を書いたのは、サラ・スチュワート(Sarah Stewart)。
絵はデイヴィッド・スモール(David Small)、 おふたりは、ご夫婦です。
『エリザベスは本の虫(The Library)』、『ベルの友だち(The Friend)』などの共著がおありです。
スモールさんは他に、『So You Want To Be President?』で、コールデコット・メダルを受賞されました。
本書も、コールデコット・アナー・ブックに選出されていますね。
コールデコット・メダル、アナーについてはこちらをご参照下さい。
『So You Want To Be President?』は、探してみたのですが、翻訳されてないか、絶版のようです。
タイトルを訳すと「それじゃ君は大統領になりたいの?」で、極めてアメリカ的な内容が予想されますから(ごめんなさい、未読なんです。)、翻訳されない、もしくは、されても日本では不人気だった、というのは、いかにもありそうです。
これで、作品のアウトラインはご紹介できましたので、次回から、「ふたごの絵本たち」というアイディアが、どうしてできたかについて、触れて行きたいと思います。