昨年末涙ながらに別居を決意したカップルがいました。
アリソンは数ヶ月人里離れた場所で1人で絵を描く事に没頭し、初夏にフランクの住む家に帰って来ました。別居中は週一回の安否確認だけしてそれ以上連絡を取らないように決めていました。離れてみてわかったのは、2人はまだ深く愛し合っており、別れる事は考えられない、一緒にやり直したいという事でした💕
また一緒に住み始めて最初の1ヶ月はハネムーンのように楽しい日々でした。フランクは新しく教員アシスタントという仕事を得て張り切っていました。2人ともそれぞれカウンセリングを受け、ストレスを溜めない生活を心がけました。でも次第にお互いの仕事が忙しくなり、小さな口論をするようになって不安になった2人は、カップルセラピーを再開したいと私に連絡して来ました。
初日アリソンは目に見えて緊張していました。画家である彼女は今の2人の状況をイラストで表現したものを私に説明しようとしますが手が震えてしまいます。フランクはそれを見て彼女を優しく励まします。
でもアリソンの不安が収まらないのを見て次第にフランクがイライラし始めました。「僕らは7年も一緒にいるのに、今だに君が僕のことを理解してないのにがっかりだよ!僕は何事にも熱くなりやすい性格なんだ。だから感情が昂って声を荒げる事もあるけど、それでいちいち傷付いて落ち込まないでほしいんだよ。君は繊細すぎるんだ!」
私はアリソンに彼女がどんな子供だったか尋ねました。彼女は両親がかなり歳を取ってから産まれた一人っ子で、穏やかに育ちました。両親が口論をするところを見たことがなかったそうです。内気で人見知りで、人に迷惑をかけないように慎重に行動する子供だったのです。
一方フランクはニューヨークの移民の家族の中で育ちました。父親はアル中で家の中では常に誰かが怒鳴り合っていました。自分が欲しい物を手に入れるためには大声で要求するしかなかったのです。彼は当時を振り返って、サバイバルの日々だったと言います。
真逆の環境で育った2人は強く惹かれ合いましたが、トラブルが起こるのは時間の問題だったのです。
私は2人に精神的トラウマが神経系に与える影響をポリヴェーガル理論を使って説明しました。繊細で穏やかな環境で育ったアリソンには、フランクにとっては当たり前の激しい口調がトラウマの要因になっていたのです。一旦神経系にトラウマが生じると、それ以降その時の状況を少しでも思い出させるような僅かなサインにも過剰反応が起きるようになります。これはPTSDに見られる症状です。
フランクは自分の態度がアリソンにトラウマを与えていた事と、自分も子供時代の経験がトラウマになっていた事を認識し、2人の傷を癒やし関係を改善するために努力していく事を新たに誓いました。
あれから数ヶ月経ちますが2人の関係は安定しており、愛情が深まっているようです。今度こそ大きな山を越えられたという感じがしています。✨❤️




