【公益社団・財団法人】寄付金税制1 | 【公益法人・NPO法人・社会福祉法人】非営利会計ナレッジ

【公益法人・NPO法人・社会福祉法人】非営利会計ナレッジ

非営利会計専門業務経験8年、研究も行う公認会計士内野恵美が、急速に変わりつつある非営利会計について気づきをシェアするブログです。


 こんにちは。公認会計士・税理士の内野恵美です。

 特例民法法人の移行期限(書類の提出期限)も遂に今月末となってしまいました。
 もう5年経ってしまったかという感じですね。
 
 ところで一般社団・財団法人(特例民法法人)が公益社団・財団法人に移行すると、個人の寄付金に対しては所得税、住民税および相続税に、法人の寄付金に対しては主として法人税に税制上の優遇が与えられます。
 旧制度でも特定公益増進法人とされた財団法人・社団法人の寄付金に対しては同様の優遇がありましたが、新制度では公益認定により優遇が自動的に与えられることになり、対象法人数は、10倍以上に増加しているようです(https://www.koeki-info.go.jp/pictis_portal/contents.do?bunNo=1120555622&meisaiNo=1120627220)。

 この優遇税制ですが、個人の所得税については、課税対象となる所得金額から寄付金額(2,000円以上)を控除することにより与えられます。
 これが「所得控除」といわれる制度ですが、優遇される税額は(寄付金額分×所得税率)となります。所得税率はその人の所得金額によって異なりますから優遇される税額も異なります。

 そして、これらの所得控除に加え、一定の要件を満たした公益社団・財団法人に対する寄付金については、「税額控除」という税制優遇も新たに与えられることになりました。
 税額控除は個人の所得税を対象として、寄付金の額の一定割合相当を税額から控除できる制度で、国際的にみても画期的な制度といえます。
 この制度は認定NPO法人制度で新たに適用されたことに対応し、平成23年6月より一定の要件を満たす公益社団・財団法人について同様に適用されることとなりました。

 税額控除額の式は下記をクリックしてご覧ください。

【公益法人・NPO法人・社会福祉法人】非営利会計ナレッジ-(税額)特別控除額


※1「その年中に支払った公益社団法人等に対する寄附金の額の合計額」については、その年分の総所得金額等の40%相当額が限度とされます。

※2税額控除限度額(所得税の25%相当額)は、認定NPO法人寄附金特別控除の額と合わせて判定しますが、政党等寄附金特別控除の税額控除限度額は、別枠で判定します。

つまり、公益社団・財団法人のうち一定の要件を満たした団体への寄付金については、
・従来の所得控除としての寄附金控除を受けるか
 又は
・寄付金の合計額の40%相当額について税額控除を受けるか、
寄附者の所得金額に応じていずれか有利な方を選択することができるようになったわけです


 これらの制度の概要については、公益認定等委員会の下記リンクをご覧になると全体像がわかりやすいです。

https://www.koeki-info.go.jp/pictis_portal/other/zei_kojin.html

 リンク先にも記載されていますように、算式を比較すると税額控除は所得控除に比べて低所得者層への減税効果が大きくなります。 
 これは所得税率が5%~40%までの6段階の累進になっていることに対し、税額控除は寄付金の額に対し一律に40%を乗じて控除額を計算するためです。
 
それぞれの控除額の限度額等についても註釈をご覧ください。

 ちょっと長くなってしまいましたが、最後までお読みくださってありがとうございます。
ただ、この話にはまだ続きがあり、

 税額控除の対象となる公益社団・財団法人の要件とは?

についてお話したいと思います。

(前回忘れておりましたが、下記クリックもよろしくお願いいたします)



にほんブログ村