今回取り上げるキーワード・言葉:「5G通信(第5世代移動通信システム)」

 

                                       (出典:FUJITSU JOURNAL)

 

●移動通信システムの世代交代の歴史

 

日本でアナログ方式の携帯電話が始まったのが1979年。この時の方式が1G(第1世代)。デジタル方式を採る2G(第2世代)のモバイル通信サービスが登場したのが1993年。この時から携帯電話サービスがスタートし、メールやネットも携帯電話から利用できるようになった。ただ、通話音質は悪く、通信スピードも9.6kbpsと遅く、多量データ情報を扱うには限界があった。

 

3Gの登場で携帯電話が情報通信サービスとして本格化し、モバイルブロードバンド時代が到来。高速・大容量のデータ通信が可能となった。コンテンツが一気に豊富になり、スマートフォンやタブレットなどの新デバイスも現れた。その後、4Gが登場し、高速・大容量化の流れが加速。4Gの現在、ストレスなく動画コンテンツやゲームを楽しめるようになり、スマートフォンの普及に大きく影響したといえる。

(出典:日本経済新聞)

 

●5G通信とその特徴は?

 

5GのGは「Generation(世代)」を意味する。つまり、現在の4Gは「第4世代移動通信システム」を意味している。5Gは、4Gの次に予定されている「第5世代移動通信システム」のことをいう。5Gの特徴は「超高速・超大容量」「超大量接続」「超低遅延」の3つ。4Gと比較すると、5Gは下記のようになる。

 

超高速・超大容量(高精細の動画もスムーズ配信):4Gの数十倍

超大量接続(多数のIOT機器を制御):4Gの10倍

超低遅延(自動運転でも事故リスク少なく):4Gの10分の1

 

                                        (出典:kakakumag.com)

 

5Gのターゲットは、「2020年代の社会を支えるモバイルネットワーク」と言われる。「多くの場面」で「多様なニーズ」に応えられるネットワークを目指している。4Gが「スマートフォンのための技術」とすれば、5Gは「すべての端末とすべてのアプリケーションのための技術」と言え、2020年の開始が目指されている。

 

●5Gが必要とされる背景は?

 

今、世界中で「人口増加」「高齢化」「都市への人口集中」といった現象が起きている。そのため、エネルギー不足、水・食料不足、医療格差、交通渋滞、環境破壊・変化などの諸々の問題が生じている。こうしたメガトレンドへの対応のために、各国は今、IoTを使いスマートな社会を実現を目指している。

 

そのため、まず情報通信のネットワークをPCやスマートフォンなどモバイル端末から、家庭内の家電、自動車にまで広げ、さまざまな情報を統合する必要がある。その統合された情報を人工知能などを用いることで、交通管理や医療の格差解消、効率のよいエネルギー管理が可能になる。ただ、そうした新システムを実現するとなると膨大な情報通信量が発生することになり、2020年代の情報社会では、移動通信のトラヒック量は2010年の1,000倍以上に増大すると予測されている。

 

●5Gでどう変わる未来の生活(活用シーン)

 

5G時代が到来すると、我々の生活はどう変わるか?具体には下記のようなことが想定できる。、

【ケース1】自動車(自動運転の実現)

自律的に道路状況を判断して走行し、さらに信号機、近隣を走行する自動車や自転車、歩行者などからも情報を取得して、自動運転の安全性がより高まる。

【ケース2】ドローン(活用領域の拡大)
5G通信によってドローンをコントロールできる範囲が広がり、日本を縦断する広域型の登場も期待でき、ドローンの活用領域がさらに広がる。

【ケース3】造成/建築分野(現場の無人化)
GPSの高精度化や5Gの登場により、街中の小さな現場も無人化が可能に。

【ケース4】医療分野(遠隔手術)
医療分野で期待されるのが遠隔手術。手術ロボットが検出した触覚をリアルタイムで執刀医に伝えることができ、より高度な手術も確実に行える。
【ケース5】エンタメ分野(8K映像の伝送等)
5G通信の実現で、8K伝送の普及に貢献し、その先として、ホログラム立体化、オーディオのハイレゾ多チャンネル化など、コンテンツがリッチ化。

 

●実用化への課題と取り組み

 

●課題

このネットワーク環境を作るには、

1)現在のモバイルネットワークで使用されていない高周波数帯域を使い、

2)まだ実現できていない10Gbpsクラスの超高速無線通信を、

3)数万台の多数端末が密集している所でも安定的に通信させる

という新技術が求められる。さらに、多数の基地局を限られたエリアに設置・運用するため、「基地局側の消費電力をWi-Fiアクセスポイント並みの10W程度に抑える」という大きな課題が出てくる。

 

●ドコモ

20年の東京オリンピック開催に合わせて、ドコモでは5Gシステムを実現するために、

・広帯域化の実現のために20GHz帯などより高い周波数帯を利用

・高い周波数帯をスモールセルに局所的に利用

・スモールセルにおいて伝送品質を向上するためにMassive MIMO技術を採用

以上の新たに3つのアプローチを行っているという。

 

●富士通

富士通では、

1)密集している多数端末と基地局が効率よく通信できる「ビームの分割多重」技術を開発し、

2)これまで使われていない高い周波数であるミリ波を用いて、

3)多数のアンテナ素子を用いて電波を目的の方向に集中させる「ビームフォーミング」で高速化

する技術開発を進めているという。

 

●参考にになる本

 

 

●参考サイト

 

第125回 「5Gって何?」の話(IPよもやま話)(㈱日立ネットワークシステムズ)

次世代通信規格5Gでどう変わる(nikkei4946.com)

次世代モバイル通信"5G"とは?【第1回】(なぜWi-Fi並みの低電力で10Gbpsの超高速通信を目指すのか)(FHJITSU JOURNAL)

5G(第5世代通信)を基礎から解説、通信の速度や用途は今後どう変わるのか(ビジネス+IT)

次世代移動通信「5G」って何? 2020年の暮らしはどう変わる?(価格.comマガジン)