今回とりあげるキーワード・言葉は「スマート農業」

 

 

●スマート農業とは?

 

生産から販売までの質を向上させたり、コストの削減、商品や労働者の安全性を高めるために、農業に先端技術を活用する農業を「スマート農業」と言う。

 

農林水産省の「『スマート農業の実現に向けた研究会』中間取りまとめ」(平成 26 年3月公表。の定義によれば、「ロボット技術やICT等の先端技術を活用し、超省力化や高品質生産等を可能にする新たな農業」である。

 

また、スマート農業が解決を目指す目的として、先ほどの中間取りまとめでは、「①超省力・大規模生産の実現、②作物の能力の最大限の発揮、③きつい作業、危険な作業からの解放、④誰もが取り組みやすい農業の実現、⑤消費者・実需者への安心と信頼の提供」を挙げている。

                  (出典:データ流通環境整備検討会)

 

●スマート農業 推進の背景

 

スマート農業推進の背景には、下記のような農業が抱える各種の課題が横たわっている。

・農業就業者の平均年齢が60歳を超え、高齢化が著しく、労働力不足や担い手不足も深刻化している。

・農業では、長年の経験や勘に基づく作業が多く、新規就農者がノウハウを習得するには非常に多くの時間が必要である。

・生産や流通などの各主体間の連携が不足し、農業は他分野と比べると効率が悪く、収量などの生産性も伸び悩んでいる。

 

●スマート農業を支える技術革新と新たな農業モデル

 

・支える技術

技術革新によってスマートフォンやタブレットPCなどの高性能なモバイル端末が急速に普及した。加えて、通信機器やセンサーの小型化・低価格化が進み、各機器と端末をネットワーク化する技術(IoT(Internet of Things))が実用化された。このことにより、様々な機器がセンサーと通信機器を備えることで、統合的で高度な管理ができるようになっている。

 

・新しい農業モデルの実現化

農業従事者の減少は長らく大きな課題として捉えられてきた。しかし、見方を変えれば農業従事者一人当たりの利用可能な農地が大幅に増加することを意味している。このより広大な農地を適切に管理可能なスマート農業を活用すれば、単なる労働力の代替ではなく、集積性の高い新たな農業モデルの構築が可能になる。

 

●政府によるスマート農業の推進

 

上記のような背景を受け、政府は「第4次産業⾰命」における基盤技術である⼈⼯知能(AI)やIoT、ビッグデータ、ロボットの活⽤により、農業分野において、「スマート農業」の実現を目指し、政策の後押しを推進している。

 

政府のIT総合戦略本部が開催した、「データ流通環境整備検討会 AI、IoT時代におけるデータ活用ワーキンググループ(第6回)」(2016年12月9日)の資料によれば、「農業における人工知能やIoTの活用による「スマート農業」の実現を加速化し、⽣産現場のみならずサプライチェーン全体のイノベーションを通じた新たな価値の創出を進めていく」ことが明記されている。

 

●スマート農業の市場規模

 

昨年、株式会社矢野経済研究所が行った調査によれば、2013年度のスマート農業の市場規模は66億1,400万円で、2020年度には、308億4,900万円になると予測されている。この予測によると、7年間で市場規模は約4.5倍となり、市場拡大のスピードの速さが伺える。

 

●スマート農業が拡大する理由

 

スマート農業が拡大する理由はいろいろあるが、主なものをあげると下記のとおりとなる。

 

・農業の危険な作業からの開放

・農業に掛かるコストの削減可能

・農業経験なしでもスタートしやすい

・高齢者でも使いやすく、後継者不足の解消にも繋がる

・会計処理が簡単

TPPに対応するため

 

                 (出典:データ流通環境整備検討会)

 

●スマート農業技術の例

 

技術の例  ①農業用ドローン

様々な分野での利用が進むドローンを、圃場情報の収集や種子散布など農業分野でも活用する動きが進んでいる。

 

技術の例  ②農業ロボット

農作業の自動化を実現する農業ロボットの実用化が進んでいる。一部は既に商品化に至っており、その代表例が収穫ロボットである。

 

技術の例  ③環境制御技術

IoTによって、施設園芸内の栽培設備を自動制御し、温室内の環境を最適化する環境制御システムが実用化されている。

 

技術の例  ④自動運転農機

トラクターやコンバインなどの農機の自動走行の実用化が進んでいる。GPSによる運転支援が商品化され、有人機と無人機の協調運転の実用化も進んでいる。

 

●国際次世代農業EXPO―スマート農業ゾーン新設

 

900社が出展する日本最大の農業の専門展に、スマート農業の専門エリアを設置。スマート農業とは、従来からの農業技術と、ロボットやICT等の最新技術を連携させることで、超省力化や高品質生産等を可能にする新たな農業。全国から来場する30,000名の業界関係者に、貴社製品のPRや商談を行う絶好の場です。 (・国際次世代農業EXPO

・出展対象 

○アシストスーツ ○ドローン ○IOT/ICT ○環境制御技術 ○自動運転トラクター・農機 など

                            

●スマート農業普及の課題等

 

スマート農業普及の課題はいろいろあるが、特に下記のようなものが課題と言われている。

 

① 導入コストの低下

② ソフトウェア(OSやミドルウェア)の標準化

③ 農家人口が現状より減ってしまう懸念

④ スマート農業にはルールがない(ルール化)

 

●参考サイト

 

今話題のスマート農業とは?市場規模308億円って本当(peko)

スマート農業とは?IoT×農業が変えるアグリビジネスの未来(the finance)

AIやIoTによる「スマート農業」への道程--ロボット化で目指す“人手ゼロ”(ZD NeT JAPAN)

・データ流通環境整備検討会(AI、IoT時代におけるデータ活用ワーキンググループ)(第6回)―農業分野におけるデータの利活用

 

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