画像

【#24 The end of sand storm / Nov.26.0079 fin.】

「キョウ・ミヤギ!!!!」
 キョウ・ミヤギ曹長の乗るガンキャノンが黒煙をあげるのを見て、ヘント・ミューラー少尉は絶叫した。すでに、ビームライフルの銃身は焼き付いて、次弾を撃てない。ライフルを投げ捨てると、肩にマウントされたビームサーベルを引き抜き、敵に殺到した。

画像

 あれほど、警戒していた”血濡れの左腕”を、ミヤギの元まで突破させてしまった。後悔や、自責の念を、真っ黒な殺意が塗りつぶす。

画像

 敵も、通り名の”血濡れの左腕”を失い、その漬け根から黒い煙を上げている。残った右手に、赤熱したサーベルを握って、こちらに向かってくる。
「ーーーーーーーっっっっ!!!!」
ヘントの、言葉にならない、けもののような雄叫びが、コクピットを満たす。赤黒く、視界が染まるような感覚の中、ヘントの目には、敵の命が一つの灯りのように見えた。コクピットを目掛けて、正確にビームの刃を突き出す。
(違う、ヘント——!その人は——!!)
不意に、頭の中に、涼し気なよくとおる声が響いた。よく知っている声のはずなのだが、まるで、遥か未来から届いたかのような、遠い声だった。

画像

 ヘントは、サーベルをさっと横に薙ぐと、敵のサーベルを待つ手を切り落とす。機体がぶつかり合った直後、互いが一歩退いたその瞬間、返す刀で敵の頭部を撥ね飛ばす。メインカメラを失って、ふらつく機体の、両脚を薙ぎ払うと、”血濡れの左腕”は遂に沈黙した。
~~~~~~~~~~~~~~~


【To be continued...】