【#01 Road to Odessa / Oct.20.0079】


 U.C.007910月、ポーランド国境付近。

 ジオンの採掘基地のある、オデッサの鉱山地帯に続く荒野には、地球連邦軍の軍事キャンプが点在していた。その軍事キャンプの中に見える、格納庫と呼ぶには随分粗末な建屋に、2体の巨人がゆっくりと足を踏み入れた。

 サイド3の独立運動をきっかけに、U.C.0079の年明けに開戦した戦いは、MSと呼ばれる巨大人型兵器の登場によって、地球連邦はジオン公国に圧倒されていた。 しかし、ついに、地球連邦もMSを手に入れ、反撃に転じようとしていた。 地球におけるジオンの重要拠点である、オデッサの鉱山地帯に対する、大反抗作戦、

 サイド3の独立運動をきっかけに、U.C.0079の年明けに開戦した戦いは、MSと呼ばれる巨大人型兵器の登場によって、地球連邦はジオン公国に圧倒されていた。

 しかし、ついに、地球連邦もMSを手に入れ、反撃に転じようとしていた。

 地球におけるジオンの重要拠点である、オデッサの鉱山地帯に対する、大反抗作戦、"オデッサ作戦"のため、着々とオデッサに連邦軍の戦力が集結しつつあった。

 MSである。

 秘密裏に開発が進められていた、地球連邦のMSが、ついに戦線に投入される。

「V作戦ていうのは、あれはどうなっているんだ。サイド7が攻撃を受けたっていうが……。」黒鉄の巨人、MSを見上げながら、イギー・ドレイク少尉が呟く。「少佐の話じゃあ、なんとか脱出して、母艦ともども遊撃任務に就いてるってさ。地球に降りてきて、この辺で戦ってるんだろ。」ヘント・ミューラー少尉が、呟きを受けて答える。「うちのMS開発はV作戦のデータを受けてって聞いてるんだが、さっきこいつらの中身を覗いたが、これは……」 そのデータと思しきものは、機体の中に存在していない。テストばかりの実戦経験もない“空っぽ”の頭のまま送り込まれていた。「待ってられないんだろ、彼らのデータを。ジャブローを経由しなくちゃさ。その前に、オデッサ・ディがやってくるよ。」「だからだろ、ここまで歩いてくるのも一苦労だ。こいつら、地球の歩き方も知りやしねえ。こんなんでジオン星人と戦えるのかよ。」だと言うのに、地上では必要ないと思われる、宇宙での姿勢制御機構のデータなどが紛れ込んでいる。宇宙でのテストの名残だろう。 イギー・ドレイクと、ヘント・ミューラーは、オデッサ作戦に極秘投入されるMSの、パイロットとして配属された。しかし、当のMSは、本来の開発計画の規格から大きく外れて開発されたもので、とても実戦に役立つものとは思えなかった。 本来V作戦の開発機体群のデータを基に開発が進められるはずだった連邦製MSだが、そのデータの準備を待たずして、先行量産が始められたのが、彼らの乗る陸戦型MS群なのである。イギーの言う「歩くのも一苦労」とは、1G下での歩行データもないため、足場の悪い地帯での転倒を繰り返し、文字通り七転び八起きしながら受領地点から歩行してきたのだ。「そのあたりの訓練も兼ねてだろう。とにかく、出来るようにならなきゃ、死ぬのは俺たちだ。」ヘントの対応に、イギーは不満そうだったが、まあ、そうだな、と呟いた。

V作戦ていうのは、あれはどうなっているんだ。サイド7が攻撃を受けたっていうが……。」

 黒鉄の巨人、MSを見上げながら、イギー・ドレイク少尉が呟く。

「少佐の話じゃあ、なんとか脱出して、母艦ともども遊撃任務に就いてるってさ。地球に降りてきて、この辺で戦ってるんだろ。」

ヘント・ミューラー少尉が、呟きを受けて答える。

「うちのMS開発はV作戦のデータを受けてって聞いてるんだが、さっきこいつらの中身を覗いたが、これは……

 そのデータと思しきものは、機体の中に存在していない。テストばかりの実戦経験もない“空っぽ”の頭のまま送り込まれていた。

「待ってられないんだろ、彼らのデータを。ジャブローを経由しなくちゃさ。その前に、オデッサ・ディがやってくるよ。」

「だからだろ、ここまで歩いてくるのも一苦労だ。こいつら、地球の歩き方も知りやしねえ。こんなんでジオン星人と戦えるのかよ。」

だと言うのに、地上では必要ないと思われる、宇宙での姿勢制御機構のデータなどが紛れ込んでいる。宇宙でのテストの名残だろう。

 イギー・ドレイクと、ヘント・ミューラーは、オデッサ作戦に極秘投入されるMSの、パイロットとして配属された。しかし、当のMSは、本来の開発計画の規格から大きく外れて開発されたもので、とても実戦に役立つものとは思えなかった。

 本来V作戦の開発機体群のデータを基に開発が進められるはずだった連邦製MSだが、そのデータの準備を待たずして、先行量産が始められたのが、彼らの乗る陸戦型MS群なのである。イギーの言う「歩くのも一苦労」とは、1G下での歩行データもないため、足場の悪い地帯での転倒を繰り返し、文字通り七転び八起きしながら受領地点から歩行してきたのだ。

「そのあたりの訓練も兼ねてだろう。とにかく、出来るようにならなきゃ、死ぬのは俺たちだ。」

ヘントの対応に、イギーは不満そうだったが、まあ、そうだな、と呟いた。

 地球連邦軍第87対MS戦隊。 ヘントとイギーが所属する部隊は、連邦軍のMS戦力運用の試験部隊である。前述の通り、V作戦のデータを持たずに運用される連邦製のMSの試験運用も任務の一つであるが、オデッサ作戦発動に向けての急務である、MSを主戦力とした対MS戦の実地試験こそが真の任務であった。「おまけに噂のニュータイプ部隊の陽動、か。」「彼らもオデッサ作戦の陽動で動いていると言うのに、なんとも妙な気分だな。」ジオンに脅威として認識されつつある、ホワイトベースとその艦載機

 地球連邦軍第87MS戦隊。

 ヘントとイギーが所属する部隊は、連邦軍のMS戦力運用の試験部隊である。前述の通り、V作戦のデータを持たずに運用される連邦製のMSの試験運用も任務の一つであるが、オデッサ作戦発動に向けての急務である、MSを主戦力とした対MS戦の実地試験こそが真の任務であった。

「おまけに噂のニュータイプ部隊の陽動、か。」

「彼らもオデッサ作戦の陽動で動いていると言うのに、なんとも妙な気分だな。」

ジオンに脅威として認識されつつある、ホワイトベースとその艦載機"ガンダム"が、オデッサ近郊で神出鬼没の戦いをしている、と思わせたいのだろう。87戦隊も、ガンダムタイプを有しているために、このオデッサ作戦発動に向けた陽動に組み込まれたというわけだ。

「こっちは歩行訓練なんかしてるのになぁ。」

この後、彼らはオデッサの鉄の嵐に身をと投じ、そして更なる戦いを続けることになるのだが、今はまだ、その運命を知らない——。

 第87対MS戦隊 隊長にラッキー・ブライトマン少佐。 先行量産型MSであるRX-79[G]陸戦型ガンダムおよびRGM-79[G]陸戦型ジムの2機を主戦力として保有。ヘント・ミューラー少尉をガンダムの、イギー・ドレイク少尉をジムのパイロットとして配属。 他、M61A5MBT 61式戦車5型 4輌(1個小隊)、M353A4 ホバートラック

 第87MS戦隊

 隊長にラッキー・ブライトマン少佐。

 先行量産型MSであるRX-79G]陸戦型ガンダムおよびRGM-79G]陸戦型ジムの2機を主戦力として保有。ヘント・ミューラー少尉をガンダムの、イギー・ドレイク少尉をジムのパイロットとして配属。

 他、M61A5MBT 61式戦車5型 4輌(1個小隊)、M353A4 ホバートラック"ブラッドハウンド"1輌を装備。

 対MS戦術歩兵中隊も戦力に加え、U.C.007910月末に、オデッサ作戦発動に備え、ジオン公国軍が占領する鉱山地帯近郊にて、ホワイトベース隊の作戦行動の補助作戦としての陽動・撹乱と、公国軍への威力偵察、そして実戦におけるMSによる戦闘運用の実証試験を開始する。以後、装備の拡充・改編を行いながら、運用


【#01 Road to Odessa / Oct.20.0079 fin.】


 ガンプラ投稿サイトにて自主連載しておりましたが、なぜかセンシティブ通報を受けてしまったので、保険のためにこちらにも記事を残したいと思います。

 以前、多肉植物栽培をテーマにしたアカウントをそのまま使っておりますので、以前のフォロワーの皆さまで、当ブログの方針に合致しないと判断された皆さまは、お手数ですがフォロー解除などのご対応をお願いいたします。


こちらにもまとめております。