前回の投稿で腰高フォームの一因としての足首の動きについて触れました。足首を固定することで腰高のフォームをつくることが可能と考えましたが、この動きを取った場合はストライドを伸ばすのが難しくなるように思います。

 

私自身は股関節を含めた脚の各関節を屈曲させた、腰高とは真逆のフォームがストライドを伸ばすカギだと思っています。具体的にはこれらの関節を脱力し、足に体重を乗せることで地面をしっかりととらえることが可能となり、地面反力を得てストライドを伸ばすことが可能になると考えています。

 

 

 

この図のように屈曲することで、膝間節と股関節が伸展した際に前方への移動距離が大きくなります。腰高になればなるほどこの距離は小さくなるので、前方への推進力を考えた場合はマイナスになるといえます。このマイナス分を補うためには、完全に着地した後に膝を前傾する必要がありますが無駄な動きといえます。

 

 

 

この動画で確認いただけるとよくわかると思います。日本人は全般的にフォアフォットで腰高傾向です。先の説明のように着地後に脛が前傾していますが、さらに共通の特徴があります。


 

 

図のように足が地面から離れる際に足首が伸びきっています。キック動作の影響だと思いますが、重心移動の遅れを取り戻すための動きだと推測をしています。逆にいうと、アフリカ人ランナーは着地と同時に前方へ移動する準備ができているといえます。

 

アフリカ人ランナーのストライドが大きいことは周知のことですが、下半身の各関節の屈曲(腰が落ちていること)が重要な役割をしていると考えています。

 

 

 

この内容は以前紹介した筑波大学准教授の榎本靖士さんの論文に記載の内容です。ケニア人ランナーと日本人ランナーの違いを詳細に分析しています。ケニア人ランナーは接地時の移動距離が長いことがはっきりわかります。股関節を含めた脚の各関節の屈曲伸展により、接地時の身体のふり幅が大きくなるためだと考えています。

 

無理なく前方への推進力を得ているといえますが、腰を落とすことで地面反力を効率よく得ている結果ではないでしょうか。

 

逆に腰高のフォームの場合は、どこから推進力を得るのでしょうか。地面反力を的確に得ることでストライドを伸ばすことができますが、そのためには地面をしっかりと押すことが必要になります。でなければ地面反力を得ることはできません。

 

腰高のフォームでは地面をしっかりと押すことはできないと思います。フォアフットで接地時間を短くするというセオリーが加わるとなおさら難しくなります。ということは、ストライドを伸ばすことは簡単ではないといえます。短距離のように地面をたたきつけるように、脚を振り落とせば可能かもしれませんが、これでは長い距離を走ることはできません。

 

現在ではカーボンプレートなどの反発の大きいソールを内蔵した厚底シューズが普及していますが、シューズにより地面反力を得やすくなっているかもしれません。ただ、カーボンの搭載されていない厚底シューズでは、ソールの沈み込みが大きく地面反力を的確に得ることは不可能だと思います。

 

おそらく地面を蹴ることでしか、ストライドを伸ばすことはできないように思います。腰高を意識して走っているランナーの方は、シューズのつま先部分が大きく減っているのではないでしょうか。

 

自身の腰高フォームについての一連の投稿は、一般的に正しいといわれる考えとは正反対といえます。常識を疑って自身の身体で検証した上での結論です。

 

腰高のフォームが正しいという常識を覆すために、今後は自身で腰が落ちたフォームでも速く走れるということを実証していきたいと思います。