2月26日に開催された大阪マラソンで、川内優輝選手が自己ベストに8秒と迫る2時間7分35秒の12位でゴールしました。

 

 

 

自己ベストは2年前の琵琶湖毎日マラソンでのものになります。10位でのゴールでしたが、鈴木健吾選手が日本最高記録で走った大会ということで、レース条件が非常に良かったともいえます。

 

川内選手は35歳ですが、22歳での初マラソンから今回で123回目のフルマラソン出場となります。フルマラソンでの途中棄権は一度もなく、平均すると年に10回近く走っていることになります。(隠岐の島ウルトラマラソンの50キロでは熱中症でのためゴール1キロ手前付近での棄権があります)

 

 

 

今回の川内選手の好走の理由が気になります。以前から実業団チームのコモディイイダの練習に参加していることは把握していましたので、これが影響しているのではないかと考えていました。

 

大阪マラソンまでの約2か月間の練習内容がSNSで公開されていましたので確認してみました。

 

 

 

1日1回の練習が基本ということですが、他のマラソントップ選手ではあり得ないと思います。朝練習と本練習があるのが常識です。

 

コモディイイダチームとの練習はこの間に7回と、かなりの頻度といえると思います。また、レースにも頻繁に出場しています。

 

川内選手は自身の練習についてこのように述べています。

 

 

 

レースに頻繁に出場していること、コモディイイダチームの練習への定期的な参加を裏付ける発言といえます。

 

量を追う練習の否定的な考えは、自らの経験からのようです。

 

 


同じくツイッターからのものになります。大会の開催時期が異なるので、評価は難しいと思いますが、最も暑い8月に1000キロ以上走ったのが問題のような気がします。11月から2月までの川内選手の走行距離は、マラソンのトップランナーとしては異例の少なさだと思います。

 

 

 

ツイッターの中のやり取りで、川内選手は現在の練習についてこのようにつぶやいています。

 

「あの本の7割は今でも私の練習メニューの根幹です。

しかし3割は川内オリジナルの練習方法で全く違います。

Twitterで発信した大阪前の練習メニューを見てもらえればわかると思いますが、距離走やペース走のラストはほぼ必ず追い込みます。

それが私のラスト2.195kmの力になってます。」

 

あの本というのは、『常識破りの川内優輝マラソンメソッド』になります。学習院大学陸上部在籍時の監督である津田誠一さんが著者ですが、学習院大学の練習について書かれています。

 

 

 

本の中ではポイントになる内容について色塗りで強調されています。主なものはこのようになります。

 

『私の指導(練習)法は、当時も今も、週2回だけ集中して走力を教科する「ポイント(強化)練習」が軸。その他の日は、基本的に疲れを抜きながらジョグをするというシンプルな内容です。』

 

「自分のリズムを崩すような高強度も練習をしても効果が上がるわけではありません。むしろ体を蝕み目に見えない疲労をためて基礎的な走力を下げたり、故障したりするリスクのほうが大きいのです。」

 

「自己記録を狙う本命レース以外は、練習の一環です。試合前の調整もそれほど必要ないですし、その結果に一喜一憂しないように川内にもいっていました。」

 

この3つが根幹になる部分ではないかと思っています。ただ、距離走やペース走のラストの追い込みはこの本の中には書かれていない内容です。おそらく川内オリジナルではないかと思います。

 

その他、ランニングフォームに関する興味深い内容ことがありました。『膝のタメをつくる』ということですが、このように説明されています。

 

「膝のタメとひと言でいっても感覚的なことなので、なかなか文字にして伝えるのが難しい面があります。いい換えるならば、″膝のゆとり″″膝のクッション″のようなものを保ちながら、走るとも言えるでしょう。」

 

ケニア人やエチオピア人のトップ選手の走りとも説明しています。

 

 

 

表現の仕方は異なりますが、自身が目指しているランニングフォームにも共通する考え方だと思っています。

 

市民ランナーを含めフルマラソンで記録を出すためには、距離を踏むことが重要視されます。そのため、レースペース以下で長く走る練習がメインとなっているのではないでしょうか。

 

マラソンの場合はリズムに乗り、出来るだけ体への負担を少なくする走りが重要だと思います。川内選手のように速いペースでの動きを入れることは非常に有効な気がします。レースペースよりも早い動きを経験することで、実際のレースでも走りに余裕が出ると思います。

 

川内優輝選手は元々体力的に優れていることは間違いないと思います。プロランナーとしていつまで競技を続けるのか注目です!