先週末のことになります。昨年活躍して話題を呼んだ田中希実選手と不破聖衣来選手がトラックのレースに出場しています。ただ、従来の常識とは考えられないパターンです。

 

 

 

まずは田中選手です。兵庫県春季記録会で短距離種目の400mのレースに出場しています。中長距離の選手が400mのレースに出場することはまずあり得ません。全く走り方の違う種目になりますので、いきなり走ってもペース配分が難しいと思います。

 

 

 

私自身は中学時には800m専門でしたが、2年生の新人戦では800mがなく、400mに出場したことがあります。しっかりと練習した上でレースには参加しましたが、800mとは全く別物で、非常にきつい種目です。ゴール後は酸欠のためか頭が割れるように痛く、身体へのダメージは非常に大きいと感じました。

 

 

 

400mの場合はスターティングブロックを使います。長距離選手が普段使うことはまずありませんので、田中選手の不慣れさが動画からも伝わってきます。

 

なぜ400mに出場したのか? 800mで2分を切る日本記録への挑戦という目標があるようです。今回のレースの結果である59秒台の記録では厳しいといえます。うまく走れていないこともあると思いますが、さらにスピードを磨く必要がありそうです。

 

ただ、800mの自己ベストは2分2秒36ですので、実際にはもっと早く走れるはずです。スタートからトップスピードに走れるようなレースができれば、800mの入りが非常に楽になり、2分切りも現実味が帯びてくるように思います。

 

 

 

一方の不破聖来選手は日本学生個人選手権の5000mに出場しています。スタートから一人遅れ、1000mの通過も3分30秒以上かかっています。昨年の走りとは別物で、最下位でのゴールです。17分30秒47と自己記録より2分以上も遅い記録です。

 

 

 

この記事によると1月から故障をして走れない状態が続き、4月に入りようやく走れるようになったようです。普通はこのような状況でレースに出場することは考えられません。オレゴンの世界陸上の10000mに出場するためのステップということですが、不破選手本人の意志で走ったことが書かれています。

 

 

 

不破選手はすでに参加標準記録を突破しており、代表に選ばれるためには、5月7日の日本選手権の選考レースで3位以内に入る必要があります。今回のレースから約20日後に本番ということになりますが、非常に厳しいと思います。

 

今回のレースでどの程度余裕を持って走っていたかにもよりますが、動画を見た限りではそれなりに追い込んでいるようにも思えます。もともとの走力が優れているにしても、短期間で元に戻すことは至難の業に違いありません。

 

おそらく、3位に入る可能性があればレースに出場、難しいようであれば棄権ということになるのではないでしょうか。5月7日に不破聖衣来選手の走る姿が見られることを期待したいと思います。