理想のランニングフォームで走るために、肘を引くということがよくいわれます。

 

 

 

私自身は腕を振ること、そして肘を引くことは意識しなくてよいと考えています。理由は腕振りの役割は走動作においてバランスを取ること、地面からの反力を前方向に伝えるための補助的な役割と考えているからです。

 

※ 3:肘をうしろに引く動きを意識する

 

それではなぜ、腕振りの際に肘を引くということがいわれるのでしょうか? 理由としてはほぼ共通しており、腕振りと脚の動きが連動しているので、肘を引くことを意識することで前方への推進力を生み出すというような内容です。


何を根拠にこのような理屈が出てくるのか理解できませんが、私なりに検証してみたいと思います。

 

試しに、その場で腕振りをしてみてください。腕振りと連動して脚が動くでしょうか?  腰が動くことはあっても、脚が大きく動くことないと思います。腕と脚とは、骨格も筋肉も直接つながっていないので当然のことです。

 

腰を左右に動かすとどうでしょうか? 力がぬけていれば、腕は自然に前後に動くと思います。ただ、腕は下半身(主に股関節)を中心にした動きに連動するのであって、動きを主導する役割ではないと思います。腕振りによって、脚の動きを大きくコントロールするということは考えにくいです。

 

肘の動きを意識することは、上体に力が入ることにつながる可能性があります。特に腕を下げた状態で肘を引くと、肩甲骨周りが緊張するのがわかると思います。末端に近い個所を意識するのではなく、腕の取り付け部位である胸鎖関節、肩関節などの胴体に近い部位と連動して動きを考える必要があります。

 

上体の力を抜いて両腕の肘を曲げ、片側の腕を前方に腕を振り出してみるとわかりますが、反対側の肘が後方へ移動すると思います。逆に片側の肘を引いても、反対の腕が前方に動くことはありません。このことから考えても、肘は引くのではなく引かれるというのが正しいと思います。

 

※一様に肘が上方に上がっています

 

股関節の動きとの連動が前提条件になります。肘を引いて腕を振るのではなく、腕を前方に振出すことで推進力につながるというのが妥当だと私自身は考えています。さらにいえば、肘はアフリカ人ランナーのように上方に引き上げるのが正解だと思います。ただ、これも意識して上げるのではなく、自然に上がるようにする必要がありますが・・・

 

常識にとらわれずに、自身の身体で検証することが必要ではないでしょうか?