『青葉のタスキ』 2017年に発刊された本です。表題の青葉は、青葉昌幸さんのことです。かつて、大東文化大学の陸上部監督として、箱根駅伝の4連覇を達成した時の監督です。

 

 


この本は、東松山市議会議員である大内一郎さんが執筆された本です。大内さんとは、20年ほど前からの知り合いですが、地元の陸上競技協会にも深く係わっている方です。

 

 


青葉昌幸さんについては、関東学生陸上競技連盟の会長にもなり、箱根駅伝のスターターも努めています。何よりも、箱根駅伝4連覇を達成した実績は特筆に値します。

 

元祖山登りの名人である大久保初雄さんが、5区で4年連続区間賞を獲得したことは、今ではほとんど知られていないのはとても残念です。山の神と盛んに言われいますが、現在とは比較にならないぐらい、当時としてはずば抜けた走力だったことは間違いありません。
 

 


この本には、当時の大東文化大学の状況が詳細に書かれています。青葉さんが監督就任後に、各選手の力が飛躍的に伸びましたが、決定的な要因は大東文化大学周辺に広がる比企丘陵での練習でした。

本の中に、次のような文章があります。

『青葉は、大東文化大学陸上競技部監督を受諾したときから、東松山市・比企郡滑川町・嵐山町・小川町などに広がる比企丘陵の自然環境が、世界に通用する陸上競技の育成にぴったりであることを見抜いていた。
山並みこそないが、ふるさとの秩父によく似た地形で、盆地でない分、どこまでも走っていけそうなスケールの大きいアップダウウンが続いている。
「ここを毎日走っていれば、必ず勝てるチームになる」青葉はそう確信していた。
ちなみに、滑川町には東京ドーム六十五個分もの「国営・武蔵丘陵森林公園」がある。
園内には起伏にとんだクロスカントリーコースがあり、ここも大東文化大学のホームグラウンドのひとつである。』


また、エピローグにはこのような文章があります。

『私は、子どもたちの発育・発達は、小学校や中学校時代にあると思っています。
小学校や中学校での遊び方や過ごし方が、バランス良く育つための基本であって、この時代をどういうふうに生きたかが、とても大切だと思っています。
例えば、スポーツの種目を決めたり、ポジションを決めるのは、小学校が終わってからでも遅くないし、義務教育が終了してからでも遅くはないと思います。
私は、スポーツというのは、小学校や中学校では、いろいろなことを伸び伸びとやらせるのがいいと思います。』


2016年7月に、東松山市の陸上関係の方が開催された、『祝  青葉昌幸氏功労受賞祝賀会』での青葉さんのスピーチの一節です。私も出席していましたが、子どもたちの指導を始める前でもあり、全く記憶には残っていませんでした。ただ、あらためて読んでみると考えさせられる内容です。

大東文化大学の選手は、付近の道路、森林公園でよく見かけます。現在、どのような練習をしているのか情報がありませんが、素晴らしい環境を使わない手はないと思います。アフリカ人のトップランナーも、普段からアップダウンのコースを使って練習をしています。

今年の箱根駅伝は出場できませんでしたが、来年はぜひとも復活してほしいものです。

大東文化大学ガンバレ!!