生きている間に全財産を使いきる方法
自身で築き上げてきた財産を、
この世を去る前に、
自身で使いきることは可能でしょうか?
今回は、次世代に相続して残すことなく、
自分で、自身の財産をすべて使いきる方法を
考えてみました。
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財産とは
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まずこの記事での財産とは、
次のようなお金に換えることができる、
金銭的な価値がある資産とします。
1.現金
2.預貯金
3.株式や投資信託といった金融商品
4.骨とう品、古美術
5.自宅(不動産資産)
6.賃貸住宅の所有といった不動産資産
8.借入金(住宅ローン、カードローンなど)
このような、財産を持っている人はいるでしょう。
上記のうち、借入金を財産に入れるかは、
議論の余地がありますが、
ともかく、これらの財産を、
自身で生きている間に使いきれるか、
考えていきます。
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自身で全財産を使いきるメリット
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まず、自身で財産を使いきるメリットは、
相続人(※)の家計の負担が増えるような、
「負」の相続を少なくできることです。
なお、財産を使いきるとは、
所有者が、自身の財産を売却することも、
その方法のひとつとします。
では、上記で8つに分類した財産の、
使いきる方法を考えていきましょう。
(※)なおこの記事では、
現在、親が所有している財産を、
相続する場合は、
子どもに限定しています。
従って、この先、
文中で「相続人」の記述のある場合は、
相続する子どものことをいいます。
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1.現金2.預貯金
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現金や預貯金は生活していく上で必要です。
年金収入を考えながら、
預貯金は取り崩しながら、
計画的に使っていけばいいでしょう。
また、生涯、最後までもっているものです。
残った分は、相続人に遺産分割をすれば、
よろこばれるでしょう。
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3.株式や投資信託といった金融商品
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現在、老齢者がひとりでは、
証券業界の自主規制で、
株式の取引などが出来なくなっています。
従って、誰の手も借りずに単独で行動できる、
74歳くらいまでの「健康寿命」寿命のあいだに、
個人が所有している金融資産は、
すべて売却して現金に換えた方がいいでしょう。
そのためには、
遅くても70歳にまでには、
行動を始めなくてはなりません。
現金化したそのお金は、
旅行費用や自宅の修繕費などに、
使いきればいいですし、
税制制度を利用して、
相続人や孫に贈与する方法もあります。
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4.骨とう品、古美術
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これらの品物は、
所有している当事者や専門家には、
金銭的また歴史的な価値があるのか、
わかっていても、
相続する子どもには、
わからないこともあります。
価値があるのであれば、
再度、資産価値(売却したときの金額で換算)を、
調べて、相続人と相談して、
残しておくか決めます。
資産価値があれば、相続した人に、
相続税の納付が必要になるかもしれません。
価値はあるけど、
相続人には不要なもので、
または相続する人がいなければ、
所有者自身が売却するなり、
美術館に寄付することも考えます。
二束三文でも、
買い取ってもらえるものであれば、
業者に持ち込んで買い取ってもらうことや、
残念ですが、
可燃ごみ、不燃ごみとして
収集してもらうことも考えてもいいでしょう。
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5.自宅(不動産資産)
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自宅、特に土地と建物を所有する戸建ての自宅は、
建物には、ほとんど資産価値はなく、
売却をするのであれば、
土地の価値で売却価格が決まります。
従って、所有者が亡くなったあと、
自宅はどのような状態になるか?
・現在この住宅で親と同居している子ども家族が、
引き続き住む
・別のところで住んでいる
子どものうち誰かが引っ越して住む
・戸建て賃貸として貸す
・建物を壊して賃貸住宅を建てる
・その場所で事業を始める
・空き家になる
親と相続人と対応を考えて親が亡くなる前に、
その準備を完了しておくことです。
そして、亡くなったら相続人が
すぐに予定の行動がとれることが大切です。
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6.賃貸住宅の所有といった不動産資産
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土地を所有して、
その上にアパートやマンションを建て、
賃貸として貸している場合。
また投資用に、
賃貸住宅を所有している場合も含みます。
現在すでに、地域によっては、
賃貸住宅の空室率が高くなっています。
つまり、入居者がいない空き家が、
多くあるということです。
今後、さらに少子化が進み、
人口が減って賃貸住宅を探す人が減るでしょう。
鉄道の駅や商業地域、文教地区といった、
立地条件にもよりますが、
賃貸経営は慎重に考えることが必要です。
特に、築古のアパートやマンションの建物は、
今後、まとまった金額の修繕費用が、
必要となることや
入居者の減少で家賃収入も減少することを
考慮して、
賃貸経営を続けるのか?
ここは一考の余地があります。
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7. 自家用車や趣味で集めたものや作ったもの
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端的言って、所有者には、
思い入れがあるでしょう。
しかし、残して旅立ったら、
相続人は取り扱いに困るかもしれません。
ここは、自身で処分しておいた方が、
相続人にも負担がかかりません。
自身が亡くなってから、
相続人に処分してもらいたいなら、
その費用を、
相続人に渡しておきましょう。
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8.借入金
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事業経営ではなく、
単純に個人の借入金は、
自身で完済してほしいものです。
現在、借入金があれば、
借入残高、返済期間、利息を含めた返済総額、
といった表を作って、
返済計画を確認します。
特に、クレジットカードで買い物をして、
買い物した金額にかかわらず、
毎月一定額を返済していく、
リボリング払い(リボ払い)は、
いつまで経っても、
借金は増えていくばかりですので、
直ちに、
完済する対策を考え実行しましょう。
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人生100年時代でも歳はすぐに取る
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人生100年時代といっても、
10年、20年すぐに経っていくことは、
退職を間近に控えてみえる方なら、
ご存知のことです。
ご自身の財産を整理することも、
計画的に行っていかないと、
相続人が、つまり、
子どもが困ることになりかねません。
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■「人生の添乗員(R)」からのワンポイントメッセージ
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老後の生活を考え始めるとき、
一緒に自身の財産の処分計画も
考えましょう!
人生の添乗員®からのワンポイントメッセージ改訂版(第476号)
Photo by photo ac
「人生の添乗員」「人生の行程表」は牧野寿和の登録商標です