NO.1110 まさか!私が争族の当事者!?
10月8日のNo.1096では、
「勘違いしてはダメ!相続の基礎知識」をテーマに、
Aさん家族をモデルに、
相続税はかからないけど、
相続を受けると家計の負担になりかねない問題を
検証いたしました。
今回は、先回のように相続がスムーズに運ばず、
相続人のひとりであるDさんが、
相続の内容に、遺産分割協議の段階で応じない、
と、言い出したとします。
なぜ、そのようなことを言い出したのか?
その原因を考えてみることにします。
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先回、第462後の内容を振り返る
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先回の相続の内容は、
下記のようなAさん家族で、
C、Dさんの母親であるBさんが子どもへの相続なしで、
亡くなったあとに、
父親であるAさんが亡くなったときの事例でした。
具体的は、Aさんは、Cさんには、
Dさんには、現金400万円を相続することを、
Aさんが生前に、
C、Dさんを交えて決めた通りの相続を
Aさんが亡くなったあとにC、Dさんが実行しました。
その相続は、相続税の基礎控除内だったので、
相続税は納めなくても良かったのですが、
Cさんは、毎年の固定資産税を納めるなど、
家計の負担が必要になった。
という内容でした。
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<Aさん家族>
Aさん(夫、70歳)
Bさん(Aさんの妻、67歳)
Cさん(Aさん夫婦の長男、40歳)
Dさん(Aさん夫婦の長女、36歳)
Cさん、Dさんは、
ともに結婚してそれぞれの家庭を持っている。
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教科書通りの遺産分割法では
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繰り返しになりますが、
このC、Dさんは均等に相続すれば、
実家(2000万円)+現金400万円=2400万円を、
ふたりの兄弟で分けて、
2400万円÷2=1200万円ずつ(1)
相続することになります。
また、Aさんの「子」であるC、Dさんの相続ですから、
最低限保障される遺産取得分である「遺留分」を
両人とも受取る相続する権利もあり、
その額は、1200万円×1/2=600万円(2)
お互いに600万円です。
しかし、C、Dさんは父親が生存中に、
この部分も何度も書きますが、
Aさんが、相続資産額で2000万円の実家を相続して、
Dさんには、現金400万円を相続することで、
納得していました。
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突然!Dさんが…
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ところが、Aさんが亡くなったあと突然Dさんが、
Aさんの相続資産の1/2を均等に相続したい、
と言い出したのです。
具体的には、
実家を均等にふたつに分けることはできなく、
Dさんは現金400万円の相続でしたので、
均等な相続での1200万円(1)から不足分の
1200万円-400万円(Dさんの現金分)
=800万円を、
Cさんに現金で渡すように言ったのです。
なぜ、Dさんはこのように言ったのでしょう?
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これまでのAさん家
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Aさん家族を知っている人は、
Dさんの主張を知って、
「もっともだ」という人もあれば、
「よくDさんそんなことが言えるね」
という人もいるかもしれません。
CさんとDさんは、
学校を卒業して、
実家から独立するまでの教育費などは、
ほとんど同額だったということです。
ただ、Dさんが結婚するときは、
それは立派な拵え(こしらえ)を準備して、
嫁いだそうです。
当時母親のBさんは、
私たち夫婦が死んでも残るのは、
Cさんに相続する家(実家)しかないので、
その分を工面してDさんの分にした。
と話していたそうです。
Cさんは、なぜ今になって、
Dさんが均等な相続を言い出したのか、
よくわからないのが現実のようです。
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Dさんの事情
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なぜ、Dさんは、Cさんの家庭が、
現在受験生を抱えて、
家計的にも大変な時期だと知っていながら、
このようなことを言いだしたのでしょう?
・均等に割るのは当然だから
・Dさんの夫が当然の権利だから主張しろといったから
・Dさんの夫の親または親族からの助言
・Dさんの友達からの助言
といった、さまざまなケースを考えることができます。
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Cさんの対応
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一方、Cさんは、
実家相続することに決まっていたので、
両親が生前、結婚後にもDさんに、
援助していたことは知っていたけど、
何も言わないでいたそうです。
実際に実家を相続するときになってから、
Dさんが均等な相続を言い始めたのか、
まったく理解できないそうです。
もし、均等に相続をするのであれば、
両親が生前にDさんに援助していた、
金銭や物品の価格も相続資産に参入して、
均等に割るように主張しようとも思ったそうです。
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この相続の解決方法
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この騒ぎは争族に発展して、
家庭裁判所に調停をというところまで、
行きかけましたが、
Aさんの弟、つまりC、Dさんの叔父が中に入って、
Cさんは、
Dさんに遺留分の600万円(2)の不足分
600万円-400万円(Dさんが親Aさんから相続した現金)
=200万円を、毎月2万円ずつ100カ月(8年4カ月)
無利息で払う。
また、今後C家とD家は一切の付き合いを断つ。
この2点で、話し合いがつきました。
一切の付き合いを断つとは、
両親の供養にDさんは招かないということです。
当時これには叔父もDさんも難色を示したが、
時間が経てば、解決できるとも思ったそうです。
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相続の原因
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しかし、それから数十年以上、
200万円をCさんがDさんに支払い終えた以降も、
Dさんは、Cさんが住んでいるかつての実家の敷居を
またぐことはありませんでした。
Cさんより妹のDさんの方が先に亡くなったのです。
風の便りでは、
Dさんも、
親が決めた通りの相続の方法で良かったのですが、
Dさんの夫の意見を尊重せざるを得なかったようです。
Dさんにとっても苦渋の選択をしたのでしょう。
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■「人生の添乗員(R)」からのワンポイントメッセージ
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家族が成長すれば、
家族と違う、
さまざまな考えを持つ人も、
親族になるのです!
人生の添乗員®からのワンポイントメッセージ改訂版(第463号)
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