No.1096 勘違いしてはダメ!相続の基礎知識

 

10年くらい前まで、

たとえば、住宅購入資金の相談であれば、

親から相続で、

いくらか現金がもらえるそうだけど、

現実の問題として、

いくらもらえるのか、

またその金額がいくら位なのか、

子どもからは聞けない。

ということが前提の相談でした。

 

しかし、最近の住宅購入資金の相談では、

 

どうせ親からの相続でもらうお金なら、

お金がいる今もらいたい。

つまり、生前贈与してほしい。

 

親から相続してもらう子どもが、

自ら、親から相続してもらうことについて、

積極的に自分の考えを言うようになってきた。

ということです。

 

私は、親子で相続について、

考え方のすれ違いを起こさないためにも、

これは良い傾向ではないかな、

と思っています。

 

ただ、子どもが親に自分の考えをはなすときに、

相続についての基礎的な知識が欠けていて、

自分の思いをただ親に話して、

親もその考えに、

納得してしまうところが、見受けられます。

 

 

そこで今回は、相続税を納付するかは関係なく、

親が子どもに相続するものがある、

すべての親子に考えておいていただきたい、

勘違いしやすい相続の基本を、

お伝えいたします。

 

 

なお、話を解りやすくするために、

下記のAさんの家族を例に話を進めていきます。

 

<Aさん家族>

Aさん(夫、70歳)

Bさん(Aさんの妻、67歳)

Cさん(Aさん夫婦の長男、40歳)

Dさん(Aさん夫婦の長女、36歳)

Cさん、Dさんは、

ともに結婚してそれぞれの家庭を持っている。

 

妻のBさんが夫のAさんより

先に亡くなったとします。

 

Bさんが亡くなったとき、

Bさんの財産は若干の現金のみで、

すべて夫のAさんが相続して、

子どもたちは何も相続しなくて、

 

Aさんが亡くなった時は、

Cさんは実家を、Dさんは現金400万円を、

相続したとします。

 

 

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相続税について

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相続税は、財産を相続した人にかかる税金です。

亡くなった人が所有していた財産から、

非課税のもの(生命保険の非課税枠など)、

債務(借金など)や葬式費用などを引いた金額を、

対象に相続税がかかります。

 

ただし、

基礎控除額である

3000万円+600万円×法定相続人

までの相続には相続税はかかりません。

 

Aさん家で、上記の前提のように、

まず妻のBさんが亡くなったとして、

夫のAさんとふたりの子ども以外に

相続をする人がいなければ、

3000万円+600万円×3人=4800万円

Aさんの財産が4800万円までなら、

相続税はかからないということです。

 

また、Bさんが亡くなった後に

Aさんが亡くなったときは、

3000万円+600万円×2人(ふたりの子ども)

=4200万円

Aさんの財産が4200万円までなら、

相続税はかからないということです。

 

 

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相続税以外に相続すると必要な費用がある

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ただし、相続税は必要なくても、

相続をすると必要になる費用があります。

 

たとえば、この例のような、

Cさんが実家を相続した場合です。

 

Cさん家族は、

今まで賃貸住宅に住んでいましたが、

実家を相続したことを機会に、

実家に引っ越したとします。

 

Cさんは実家を相続した時、

相続税の基礎控除内の相続だったので、

相続税は、かかりませんでした。

 

しかし、次の費用の準備は必要です。

 

 

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相続したときに必要な費用

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相続したときの費用として、

 

実家をCさん名義に変えるため、

相続登記、

つまり、所有権の移転登記が必要になり、

その手続きで「登録免許税」を納めます。

 

また、登記をするために、相続人(Cさん)の

住民票や固定資産評価証明書などの

書類をそろえることが必要になり、

これらの書類を発行してもらう手数料がいります。

 

登録免許税の納付額は、

国税庁のサイト「登録免許税の税額表」を

参考にしてください。

 

なお、住宅を購入する時などに納付する、

「不動産取得税」は、

相続では必要ありません。

 

 

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住んでいる間、必要な費用

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次に、Cさんが、実家を所有しているあいだ、

必要な費用をまとめてみました。

 

少なくても、次の費用が必要になります。

 

<所有している間、必要な費用>

・固定資産税

・都市計画税(地域による)

・修繕積立金・管理費

(マンションなどの集合住宅)

 

<その都度必要な費用>

・雨漏りなどの修繕費

・リフォーム費

 

ほかにも、住む地域によっては、

賃貸でなく所有しているために、

必要な費用があるかもしれません。

 

ご両親が健在のうちに、

具体的に必要な費用の金額を、

聞いておいた方が良いでしょう。

 

 

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思わぬ費用

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Aさんの家庭では、

妻のBさんが亡くなったあとに、

夫のAさんが亡くなったとして、

この話を進めています。

 

両親が亡くなった時の子どもたちの相続について、

生前に両親から言われて、

CさんもDさんも納得していたとします。

 

具体的な金額は、

母親のBさんが亡くなった時は、

父親のAさんがすべて相続して、

子どもたちになしでした。

 

また、父親のAさんが亡くなった時は、

Cさんが相続した、

資産としての価値が2000万円で実家と、

Dさんが相続した現金400万円でした。

 

Cさんが相続した、

実家の資産としての価値が2000万円と、

Dさんが相続した現金400万円を、

遺産分割することに合意した内容を、

明らかにし遺産分割協議書を、

CさんDさんで作成していれば、

この相続に問題はないでしょう。

 

すでに、Cさんが実家を登記していれば、

その時申請の添付書類に、

この遺産分割協議書も添付しますので、

問題ないでしょう。

 

 

しかし、Aさんからの遺産総額は、

2000万円+400万円=2400万円

すでにBさんは亡くなっていますので、

子どもふたりで相続するため、

法定相続分としては、

2分の1ずつでのお互いに1200万円です。

 

そこで、

DさんがCさんに均等な相続であれば、

不足分の800万円を現金で請求されたので、

その分をCさんはDさんに支払いました。

 

ということも起こりえるのです。

 

 

Cさんは、相続税は必要なかったですけど、

Cさんの家計から、

800万円の出費が必要になることもあるのです。

 

 

ここまでで、相続について一面を、

理解していただけたと思います。

 

 

ただ、上記で、

Cさんが支払って「こと」は納まりましたが、

Cさんが支払いを拒否した場合は、

両者の言い分を言うでしょう。

 

この状態が続けば、

俗にいう「争族」が始まりかねないのです。

 

 

なぜこのようなことが起こるのか?

 

そこには、思わぬ理由もあったのです。

 

来週は、その部分を解明していきます。

 

 

 

 

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■「人生の添乗員(R)」からのワンポイントメッセージ

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相続税は納めなくても、

 

思わぬお金がいる、

 

相続もあるのです!

 

人生の添乗員®からのワンポイントメッセージ改訂版(第462号)

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