No.1086 実家を遺産相続することになったらすぐ準備すること
先日、Cさんは、
父親のAさんから、細かい話は省きますが、
Aさんと母親のBさんの両親のどちらが先に
亡くなるかわからないが、
ふたりとも亡くなったあと、
実家を遺産相続で譲るから、
その時の準備を始めてほしいと言われました。
そこで今回は、
長男のCさんが相続することに決まった
実家をスムーズに相続するため、
また有効活用するため、
それまでに準備することを考えていきます。
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Aさん家族について
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あらためて、Aさん家族を紹介します。
現在、Aさんは85歳、妻のBさん82歳です。
戸建ての持ち家に住んでいます。
子どもは、長男のCさん55歳と
長女のDさん52歳がいます。
子どもはふたりとも、
Aさん夫婦より独立して、
それぞれに家庭を持ち、
その子どもつまり孫もいます。
Aさんは、日頃からご自身の相続のことが、
年取るとともに、気になっていました。
このたび、Aさんの呼びかけで、
Aさん夫婦とふたりの子どもが、
Zoomで話し合いをして、
Aさん、Bさんがそれぞれ亡くなった時、
その後に、Aさん夫妻ともに亡くなったあとの、
遺産分割を親子が納得して決めることができました。
決まった内容でのうち、
実家の土地建物は、
長男が相続することになりました。
では、これから相続までに、
両親が健在中にでも、
Aさん、親が準備していくことを考えていきます。
なお、生前贈与をすることは、
しないことも決まっています。
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Aさんが準備するポイント
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では、下記の順に考えていきます。
1.相続後の家計の負担を確認する
2.実家をどうするのか考える
2-1.Cさん家族が住む
2-2.賃貸として貸す
2-3.売却する
2-4.事業に活用する
3-1.今から準備を始めること
3-2.専門分野がある
4.準備を始めたら活用方法が変わった
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まず、Cさん(息子)が現在の生活に加えて、
実家を相続したときの、
相続後の家計の負担を考えてみます。
Cさんが実家を相続すると、
毎年、固定資産税や
地域によっては、
都市計画税の納付が必要になります。
Cさんは、
親から現在毎年いくら税金を納付しているのか、
聞いて確認しておくことです。
また、毎月の水道光熱費や
これまでに家の修繕に支払った金額といった、
実家の維持費も確認しておきましょう。
それに、実家を相続するときに、
相続税の納付が必要になるかもしれません。
その準備も必要です。
相続税の納付は必要か、
必要であることは明確でもその金額が不明であれば、
一度相続専門の税理士に、
相談しておいても良いでしょう。
なお、相続税の納税は不要だったとしても、
Cさんが実家を相続して所有するために、
登記が必要になります。
そのための費用もいります。
相続に関わるその費用の一覧を、
作成しておいた方がいいでしょう。
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2.実家をどうするのか考える
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Cさんが相続する実家ですが、
相続後にどのように活用するかによって、
準備の方法が変わってきます。
実家の土地と建物、
つまり、不動産に関わることですので、
不動産業者とのお付き合いが必要になるケースが、
多くあります。
そのときの注意点は、
下記の3-1.3-2でお話いたします。
では、順にみていきます。
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2-1.Cさん家族が住む
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最初に、現在別のところに住んでいるCさん家族が、
引っ越して実家に住むことにした場合です。
この場合、実家の築年数にもよりますが、
リフォームが必要か、
建て直しが必要か、
事前に調査しておくことです。
現在住んでいるCさんの自宅が、
賃貸でなく持ち家であれば、
Aさん夫婦の孫に、
実家に住まわせても良いでしょう。
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2-2.賃貸として貸す
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実家を賃貸住宅として貸すことを、
考えても良いでしょう。
リフォームして戸建て賃貸として貸す方法。
一軒だった実家の建物を、
建て直して2軒、3軒の戸建て賃貸として
貸す方法。
所有地の面積が広ければ、
実家を解体して、
アパートやマンションを建て賃貸として貸す方法。
といった様々な方法を考えることができます。
この方法の注意点は、
3-1、3-2でお話いたします。
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2-3.売却する
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土地建物とも売却して現金化して、
その現金を活用する方法もあります。
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2-4.事業に活用する
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Cさんがご自身の起業を考えていれば、
その事務所に使うこともできます。
また、老人ホームやコンビニなどの
敷地にしても良いかもしれません。
しかし、これからは、
間違いなく高齢者社会になり、
人口は減っていきます。
綿密な市場調査をして事業を始めないと、
借金だけが残る、
とんでもないことになりかねません。
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3-1.今から準備を始めること
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実家にご自身や家族が住む以外の計画の場合は、
早期に準備を始めることです。
その方法は、
ご自身で実家のまわりの環境を調べるために、
ご自身の足で、
朝、昼、夕方そして夜に歩いてみることです。
Cさんの実家ですので、
Cさんも幼いころから住んでいたかもしれません。
しかし、実家を離れてから年数が経っていれば、
実家のまわりの環境は、
変わっていることが多いでしょう。
子どもの頃は賑やかだった商店街も、
今は、シャッター通りになっているかもしれません。
夜歩けば、
アパートを例に明かりのついていない部屋に、
人は住んでいないことが考えられますので、
賃貸の空室状況もわかりやすいです。
このような部屋が多いところで、
アパート経営は無理です。
そのようなところで、賃貸経営をしても、
部屋は埋まらないことは目に見ています。
ここはご自身で判断がつくところだと思います。
しかし、不動産経営として、
専門的な分析、情報が必要な場合もあります。
そこで、不動産業者の助けを借りることも必要です。
ただし、業者とのお付き合いのしかたを
間違えてはいけません。
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3-2.専門分野がある
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事業を始めるなら、
その分野の不動産業者と信頼関係を構築して、
いくことです。
例えば、
不動産業者の看板を掲げていても、
アパートやマンションの賃貸物件の
仲介を生業としている業者や、
土地の売買を生業としている業者もいます。
実家を売却する場合の相談をするのに、
賃貸の仲介業者の不動産業者を訪ねても、
Cさんより知識はあるかもしれませんが、
売却の相談は無理です。
このようにならないためには、
相談に行こうとしている業者のサイトで、
どんな分野を専門にしているのか事前に確認することです。
また業者に直接聞いても良いでしょう。
これはと思った業者に何度か訪問して、
信頼関係を築いて行くことが大切です。
そのためには、時間がかかります。
また、Cさん自身が知識を
蓄えていくことも必要です。
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4.準備を始めたら活用方法が変わった
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準備を始めたら、
立地に適した活用方法が見つかり、
準備の内容が変わることもあるでしょう。
相続してもらう実家を活用するため、
活用方法がみつからず空き家にしないためにも、
準備を始めることが必要なのです。
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■「人生の添乗員(R)」からのワンポイントメッセージ
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相続で所有した不動産資産でも、
その物件をどのようにしたら、
家計の運営に役立つのか?
それを決めるためには、時間が必要です!
人生の添乗員®からのワンポイントメッセージ改訂版(第460号)
Photo by photo ac
「人生の添乗員」「人生の行程表」は牧野寿和の登録商標です