No.1045 住宅購入資金を子どもに援助する親が注意すること  

~相続についても考える~

 

ここのところ、

NO.1040,1035,1030の3回に渡り、

住宅ローンの取り扱い方について

お話して参りました。

 

今回は、住宅購入費用を親が援助するときに、

親が注意することを、

相続をまじえてお話いたします。

 

 

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住宅購入の援助にはメリットがある

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最初に、親から住宅購入資金を援助してもらう、

子どもの立場を考えます。

 

住宅を購入する本人である子どもから、

住宅購入の相談を受けるとき、

・購入資金はいくら位あるのか

・住宅ローンを組むなら、

いくらまで借入が可能か、

つまり毎月返済できる金額はいくらなのか

・戸建てかマンションか

・立地について

このようなお話を伺いながら、

購入住宅の値付けをしていきます。

 

このほかに、相談者によっては、

親や祖父母などから資金援助は可能か

といったおはなしを聞くこともあります。

 

資金の援助をしてもらえば、

援助を受ける子どもにとっては、

その分、

・予定していたより高い物件が購入できる

・予定していた物件でも予定の購入価格より

安く買える

・安く買えることによって、

住宅ローンの返済額が少なりなり、

利息の支払い分も少なくなる。

といった、

様々なメリットが出てくるでしょう。

 

 

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税制面の配慮が必要

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資金援助をしてもらえる子どもは、

通常の登記などの諸費用のほかに、

贈与税などの負担を、

考慮しておく必要もあります。

 

ただし、単に贈与税の納付金額を

計算するのではなく、

税制の優遇制度を活用した納税額を

計算することも大事です。

 

 

なお、今回の記事では、

テーマの住宅購入費用を援助する

親の立場で記載いたします。

 

従って、税制優遇制度につきましては、

国税庁のサイト「住宅取得等資金の贈与を受けたとき

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/zouyo303.htm

などを参考にしてください。

 

 

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子どもの気持ち

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住宅購入の相談を受けると、

住宅を購入する資金としていくらかは、

親からの援助が期待できる。

と、言われる方がいます。

 

しかし、具体的な金額はわからない。

また、親に具体的な金額までは聞きつらい。

ただ、今援助をしてもらえると、

家計的にも助かるとも言われます。

 

例えば、夫の親が援助すると言っても、

妻が拒否する。

反対に、妻の親が援助をするといっても、

夫が拒否する。

また、妻の手前、夫の手前、

資金援助を

親にお願いする子どもいるでしょう。

 

住宅購入を機会に、

夫婦、お互いの育った環境を

垣間見ることにもなるようです。

 

また、確かに、

親から援助してもらえれば、

助かるけど、親の老後の生活が心配、

という方もいます。

 

 

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子どもにお金を託す時期

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親が、自分たちの生涯の生活に、

必要以上の手持ちのお金があれば、

余る分を、今すぐ子どもに託せば、

子どもたちも、

有効にそのお金を使うことができるでしょう。

 

その金額が、たとえ500万円としても、

そのお金は、子どもの住宅購入費用の援助であり、

孫の教育資金援助などといった、

家計の運営にも使えます。

 

 

一方、親が天寿をまっとうしてから、

相続をすると、

貨幣価値が変わっているかもしれませんが、

おなじ500万円を受けた時、

その子どもの年齢を考えると、

自分たちの老後の生活に使うのか、

それとも孫に使うか、

そのときに考えることになります。

 

計画的ではなく、

臨時収入的にお金が入ってくるのです。

 

 

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お金が働くことも考える

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上記の例をさらに詳しく見ていきましょう。

 

(1)親の持っている資金の一部を、

子どもが現役の世代に渡す親

(2)親の全資産を、

子どもがリタイアする世代に渡す親

 

(1)(2)の親で共通することは、

現時点で、親が死亡した後に、

必ず相続してもらえる資産があるのかは、

わからないということです。

 

また、ちがうところは、

(1)で、現時点で子どもは

500万円もらうことができることです。

その500万円は、子どもの住宅費用として、

一度に使うことができます。

また、500万円分住宅を安く購入できた

と考えると、500万円分は家計に回ります。

 

その後、歳を取った子どもが、

その子ども(孫)に何らかの形で、

500万円援助できる機会もあるでしょう。

 

(2)では、援助できても1回です。

 

つまり同じ期間に、

(1)は2回転お金が回せます。

(2)は1回転のみです。

 

といった考え方もできるのです。

 

 

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お金の使い方は親子で話し合う

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住宅購入、住宅ローンといった

流れの中でお話をしてきました。

 

結局のところ、

お金はただ貯めておくだけではなく、

 

有効に使って回す。

 

ただ1代ではお金の使い方にも限りがあるので、

親子で継続的に使う方法を

考えていった方が良いのです。

 

従って、的確に資産を子どもに譲る、

相続の準備には時間が必要なのです。

 

これは、相続全般にも言えることです。

 

 

なお、税制優遇の制度は、

税理士や所轄の税務署に相談して、

利用することが賢明です。

 

 

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■「人生の添乗員(R)」からのワンポイントメッセージ

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住宅購入に限らず、

 

まとまったお金を使う時は、

 

親子で相談し合うことで、

 

親も子も助かることがあるでしょう。

 

 

人生の添乗員®からのワンポイントメッセージ改訂版(第452号)

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