No.1025 退職金のなかで自由に使えるお金の計算方法
定年退職の数年前には、具体的な退職金
の額がわかります。
金額がわかれば、かねてより計画して
いた退職後の旅行の具体化を始めたり、
また最近金融機関から熱心に投資信託
などの勧誘がよく来たりしているので、
少しは運用してみようかと、
退職金の使い方を、ご自身またはご夫婦
で検討し始めても良い時期かもしれませ
ん。
ただ、退職金で自由に使える金額は、限
られています。
そこで今回は、退職金でいくらまで、自
由に使えるのか。
その計算方法をお伝えいたします。
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退職金で大事なこと
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退職金は、勤め先の規定によってもらえる
もので、いつの時代でも必ず一定の金額が
もらえるものではありません。
退職するときの勤務先の業績などによって
も、もらえる金額は変動します。
従って、極端な話ですが、昨年退職した
人と同じ金額もらえると限らないのです。
また、退職金は老後の生活資金として
使うことが原則です。
退職金がご自身の口座に振込まれると、
一度に多額のお金が手元に入り、
気持ちも大きくなるかもしれません。
しかし、退職金で自由に使える金額は
人によっては、ほとんどないかも
しれません。
70歳代80歳代になって、生活資金に困ら
ないように、自由に使える金額は
事前に計算しておくこと大切です。
では、自由に使えるお金はいくら位なの
か?
計算の方法をこれからお伝えしていきま
す。
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家計の収支を計算する
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まず知っておいていただきたいことは、
退職前、現在の家計収支です。
特に、支出額は退職後、急に大幅に変
わることはありません。
そのまましばらくの間は、収支の額は変わ
ることなく家計から支出されます。
従って、把握しておくことは重要です。
退職後に、趣味にかかる費用を増やす
予定であったり、被服費は減ったりと、
既に増減のわかっている金額は調整し
ても良いです。
原則、老後の生活では、年金収入で足り
ない分を、退職までの貯蓄や個人年金と
いったそのご家庭で蓄えた資金。
そして、退職金で補います。
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一応、自由に使える金額
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退職金の中から、老後の生活費に使わな
くても良い金額が、一応自由に使えるお
金です。
なぜ一応なのでしょう?
なぜならば、生活費以外にもご家庭ごと
に、お金を準備しておくことが必要だか
らです。
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借入金の返済費用
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例えば、借入金の返済が完了していない
方は、その返済費用が必要です。
ただし、退職金を使って住宅ローンの繰
上げ完済をしても良いか、と相談を受け
ることがあります。
その回答は、ほとんどの方の場合、老後
晩年の家計収支をシミュレーションして
みて、生活費が乏しくなるのでやめため
た方が良いとお答えしています。
なぜなら、住宅ローンを完済す時に現金
が減ります。老後の生活で急にまとまっ
た現金が必要になった時、金融機関から
借り入れることができても、住宅ローン
の金利と違って高利だからです。
また、住宅ローンの返済末期の返済額の
内訳は、一般的に利息分は返済し終えて、
元本分の返済ですので、退職金を返済に
使っても利息分の返済額が安くなる、と
いったメリットはほとんど期待できない
からです。
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住宅について
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マイホームにお住まいの方は、住宅を改
修する費用、建て替える費用、住みかえ
る費用など、終の棲家(ついのすみか)
までを計画し、そのための費用を、
予算化をしておくことが大切です。
また、生涯賃貸住宅に住む計画の方も住
宅費の予算化が必要です。
賃貸の経営者は、高齢者に部屋を貸すこ
とを嫌がる傾向があります。
従って、歳を取ってから賃貸の引っ越
しが既にわかっている場合などは、
その時の対策を今から決めておくことが
大切です。
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退職金を運用する
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退職金を使って、株式や投資信託といっ
た金融商品に運用をする方法を相談にみ
える方がいます。
退職金を金融商品で運用するのは、
少なくても、現役中から金融商品で運用
していた方が、定年後も続けるのであれ
ばまだしも、初めて運用をしてみようと
いう方には、お勧めいたしません。
なぜなら、運用の仕方を学ぶのに時間も
お金もかかるからです。
どうしても運用を始めたいのであれば、
その予算は上記で計算した自由に使える
お金の範囲です。
言い換えれば、なくなっても良いお金の
範囲内ということです。
また、すでに運用の経験がある方も、
新規商品の運用に使う資金は、退職金の
うち自由に使えるお金の範囲内にした方
が良いでしょう。
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退職金の使い道は限られている
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年金収入が中心となる老後の生活では、
現金が手元に入りづらくなります。
将来は現在よりキャッシュレスが進み、
買い物をする時でも、現金を手渡しで
使うことは減少するでしょう。
しかし、お金が必要になって借りても、
家計の体力から容易に返済することは
困難が伴います。
従って、銀行の預貯金口座に、常に預
貯金のあることが必要です。
従って、一度に多額に入ってくる退職金
ともいっても、限られた金額あり、老後
の生活費に充当することが、主な使い道
になるのです。
また、繰り返しになりますが、退職金から
自由に使えるお金は限られているのです。
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■「人生の添乗員(R)」からのワンポイントメッセージ
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退職金から自由に使える金額とは、
まず、家計支出を把握して、
また老後の生活費に充当する
金額も把握して、
そして残った金額分なのです!
人生の添乗員®からのワンポイントメッセージ改訂版(第448号)
Photo by photo ac
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