今回は、よくお問い合わせをいただきます、
住宅ローンを返済中に、

住宅ローン控除を受けられる10年の間に、
こつこつとお金を貯めて、
またはまとまったお金が手元にはいった時に、

住宅ローン控除の適応期間中でも、
繰上げ返済をして、
ローンを完済した方がいいのか?

繰上げ返済用のお金が用意できても、
住宅ローン控除の期間中の繰上げ返済は、
止めた方がいいのか?

といった点を検証してみます。



----------------------------------------------------------住宅ローン控除とは
----------------------------------------------------------

個人が住宅ローン等を利用して、

マイホームの新築や増改築などをした時に、

平成31年6月30日までは、
一定の要件を満たす場合、

その住宅ローン等の年末残高額の1%の額を、
毎年最高40万円まで、

借入れ1年目から10年間、

所得税額から控除する制度です。


---------------------------------------------------------
繰上げ返済とは
---------------------------------------------------------

例えば、35年で住宅ローンを組んだ場合、

元本と借入残高に応じた利息を、
毎月返済していきます。


返済の途中で、まとまったお金を返済すると、

35年間から返済期間を、
短縮方法と、
期間は35年間でも毎月の返済額を減らす

2つの繰上げ返済方法があります。

ともに、繰上げ返済をすることで、
融資を受けた元本が減りますので、
借入残高に応じた利息も減る効果があります。

今回は、期間短縮型で検証してみます。


---------------------------------------------------------
比較をしてみる
---------------------------------------------------------

まず、住宅ローン商品を設定して、
次の3つのケースで計算をしてみます。

借入金額:3500万円

返済期間:35年間

住宅ローン商品と金利:35年間固定金利、金利年1.0%

としてみます。


<ケース1>:35年間住宅ローンを返済した場合

この住宅ローンで、35年間で返済をすると、
利息の返済総額は、約649万円(1)です。

借入れ後10年間の住宅ローン控除の金額は、
約304万円(2)です。

(1)―(2)=約345万円

実質、約345万円利息額を負担することになります。


<ケース2>:借入れ11年目で1000万円繰上げ返済した場合

借入れ11年目で、
1000万円繰上げ返済をしたとします。

すると、
返済は、25年間で完済でき、
返済期間が10年間短くなります。

利息の返済総額は、約430万円(3)になります。

10年間の住宅ローン控除の総額は、
上記と同様、約304万円(2)です。


すると、
(3)―(2)=126万円(4)
利息の負担額は、
35年間返済をする時より、
約40%減らすことができます。


<ケース3>:借入れ5年目で1000万円繰上げ返済をした場合

では、借入れ後5年目で、
1000万円繰上げ返済をした場合を見てみます。


すると、
返済期間は、<ケース2>と同様に、
25年間で返済でき、
返済期間が10年間短くなります。

借入れ後10年間の住宅ローン控除の金額は、

6年目以降は、
借入残高が繰上げ返済をした分減りますから、
約243万円(5)となります。

利息の返済総額は、約358万円(6)になります。

25年目の完済時までの実質的な利息支払額は、
(6)―(5)=約115万円(7)になります。


---------------------------------------------------------
繰上げ返済のポイント
---------------------------------------------------------

繰上げ返済を頻繁に行えば、
また違った結果になりますが、

基本的には、
(4)と(7)を比較してお分かりのように、
住宅ローン控除の効果と残高にかかる利息額によって、
返済額に影響を及ぼすことが、
ご理解いただけると思います。


<ケース2>と<ケース3>とでは、
繰上げ返済をする時期が違いますが、

返済期間の短縮期間はお互いに、
10年で、25年間で完済です。


住宅ローン控除を考慮した、
利息の負担の差は約9万円です。


ただし、繰上げ返済をすると、
手持ちの現金がなくなります。

子どもの教育資金など、
現金が必要なことあれば、
そちらを優先して、
繰上げ返済は待った方がいいかもしれません。


節税の制度の利用や、
また、返済期間中の家族のライフプラン、
も考慮しながら、


返済計画は計画的に進めていくことが必要です。



*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:**:*:*:*:*:*:*:*:
■「人生の添乗員(R)」からのワンポイントメッセージ
*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:*:**:*:*:*:*:*:*:*:

住宅ローンは返済期間が長く、

その期間のライフプランを作成しておくことも大切です


「人生の添乗員®からのワンポイントメッセージ第258号」より
Photo byphoto-ac