昨年フラメンコのクラスで知り合った友人に誘われて、大御所バイラオーラ「Eva Yerbabuena(エバ・エルバブエナ」さんの舞台公演を観に行きました。

開催場所はセビージャなら誰もがご存知の「Teatro de Maestranza (マエストランサ劇場)」です。




5年以上前に1度日本で公演した時拝見した事があります。

その時は確か日本の音楽と混合アートを作り上げていて、「最後まで舞台スタッフさんにお辞儀をしている姿勢」に1番感銘を受けたのを覚えています。

日本🇯🇵での舞台が1万円弱の料金で、スペイン現地では1番安くて30€(4500円)近いチケット代金。けして安い訳ではないですが、「フラメンコ業界の最高峰に辿り着いたアート」から學ぶ事が沢山ありますよ。



舞台公演後は舞台に誘ってくれた友人の知り合いのブラジル人2人も加わり、舞台の感想会が始まりました。

本当は彼女達はポルトガル語の方が楽ですが、私がいるので全てスペイン語で皆が頑張ってくれました。🙏

意見はバラバラでしたが、個人的な感想としては
「非常にバランスが取れた舞台であった。」と感じます。

理由:
・コンテンポラリーとフラメンコが半々だった。
・フラメンコの足技が多すぎなかった。
・出演者の舞台配置が交互にされていた。
・舞台背景の色に沢山変化があった。
・カンテ(歌)だけで表現するフラメンコが多かった。
・詩を読むナレーションが多かった。
・クラシック音楽とフラメンコ音楽を両方使っていた。


意見①
私のブラジル人の友人の意見は、「素晴らしい舞台だけど、舞台構成がアレグリアス(明るい曲)とかで終われないのかしら?エヴァはフラメンコではないわ。ロシオ・モリーナも違うわ。サラ・バラスはフラメンコね。」

意見②
もう1人別のブラジル人のフラメンコ仲間は、「ソレアの部分はつまらなくて寝そうになったわ。(笑)」

意見③
フラメンコを全く知らない女性は「ハダカの男性が踊っている部分はつまらなかったわ。話の繋がりが良く理解できなかった。」



↑の意見を観ても分かるように芸術の面白いところは「観客もそれぞれ感じ方が違う」という点にあります。

つまり有名なアーティストでも好きな人は好きだし、嫌いな人は嫌いなんです。

人によりつまらないと感じる人もいれば、素晴らしいと感じる人もいる。

私は今回は「劇場公演」であり、「タブラオ公演」ではないので「従来のフラメンコ舞台」を期待してはいませんでした。

しかしながら、「フラメンコが好きな人達はより伝統に近い感覚を求める」

一方で「フラメンコを知らない人達はサパテアード(足技)のオンパレードでは飽きてしまう。」

だから、身体を思う存分に使うコンテンポラリーを取り入れるのは、非常に良いアイデアだと個人的に感じています。

フラメンコ💃に興味がなければ、耳から聞こえる音楽よりも、視覚で理解する身体の音楽(ダンス)が理解しやすいのです。

しかしながら約1時間半の劇場公演を作り上げるまでの過程、エンサジョ(リハーサル)の仕事量を想像するだけで疲れてしまいます。😱

基礎力と記憶力があるだけでは話にならず、体力づくりと変化に対応できる能力が絶対必要ですね。

以前、あるバイラオーラさんが「本当にプロになりたいならバレエができないとね。」と言う意味をゆっくり理解できました。

エヴァさんのようにプロの最高峰まで辿り着くかは別にして、

最終的に劇場公演を作り上げる上で「踊りのプロとしてバレエが必要。」

なぜなら、バレエの基礎は表現の可能性を広げる手助けをしてくれるからです。

劇場公演に同じマルカール(フラメンコの共通ステップ)とケブラーダ(フラメンコ特有の回転)のオンパレードでは新しいものは生まれない。

きっとフラメンコの勉強だけでは行き着かない場所が絶対あるんですよね。


自分の身体を知るほど表現方法が無限大にあると気づく。

表現はフラメンコだけではないんだと個人的に思います。