「宮崎正弘の国際情勢解題」 
     令和六年(2024年)6月22日(土曜日)弐
        通巻第8300号   
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 いまごろカスペルスキーのウイルス対策ソフトを禁止したところで
  TIKTOK禁止措置があまりにも手遅れだったように
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バイデン政権はロシアのサイバーセキュリティ企業「カスペルスキー」製のウイルス対策ソフトを米国内での一般販売を禁止する。
{?}。なんで今頃?
カスペルスキーはウイルス対策ソフトの開発で世界的に有名な企業、日本を含む世界200ヶ所に拠点がある。

カスペルスキー社とロシア政府とは密接な関係があるとされ、米国に「重大なリスクをもたらす可能性がある」というのが、バイデン政権の言い分である。ファーウェイ,TIKTOK排斥理由と似ている。
なぜならカスペルスキーのソフトが広範囲なコンピューターシステムにアクセスすることで、米国のユーザーから機密情報を盗んだり、マルウェアを紛れ込ませたりする可能性があるからだ。

とはいえ、すでに民間企業や個人の間に普及し、日常使われている。これまで禁止対象だった政府、連邦機関、軍、警察、情報機関はとうの昔から使用は制限されてきた。国家の中枢の機密は厳密に守られてきた筈であり、いまさら一般使用を禁止したところで、どれほどの効果が望めるのだろうか?

当時、ユージン・カスペルスキーCEOは「根拠のない妄想」と非難し、訴訟を起こした、ものの裁判所はこれを却下した。
制限、もしくは禁止措置は2024年9月29日に発効し、カスペルスキー社は、それから30日後に米国で禁止される。

 カスペルスキーは、1997年に設立。モスクワに本社を置き、英国の持株会社によって運営されている。英国系企業というイメージを付帯させ、200を超える国と地域で事業を展開している。

世界中に4億人のユーザーを抱え、「カスペルスキー JAPAN」は東京神田に日本支社が、大阪に関西営業所があって、日本人ユーザーも多い。
 したがって、このバイデン政権の措置は、「坊主憎けりゃ、袈裟まで憎い」の類いではないか。
「中国政府と繋がっているから」と言って、TIKTOK禁止に踏み切ったが、アメリカでTIKTOKユーザーはすでに1億7000万人もいる。

トランプはTIKITOK禁止に反対意見をのべ、「この禁止措置で喜ぶのは(ビジネスが増える)フェイスブックだ」と言った。言外にフェイスブックはもっと左翼的だと示唆しているのである。


 ▼ハッカー攻撃に脆弱きわまりない日本

2023年3月に、遅れに遅れたが自衛隊に「サイバー防衛隊」が発足した。規模は僅かに540人。中国は17万5000人のサイバー戦部隊、北朝鮮は6800人。ランサムウェアでハッカー攻撃を仕掛け、数十億円の身代金を稼ぐ専門部隊である。

 最近の被害はニコニコ動画のKADOKAWA、そして宇宙航空の大本JAXA(宇宙航空研究開発機構)だ。とくにJAXAは2023年から複数回のサイバー攻撃を受けていた。
中国系ハッカーによる攻撃で、大量のファイルが閲覧された形跡があり、なかには秘密保持契約を結ぶ外部の企業や機関の情報も含まれていたという。

 KADOKAWAドアンゴの場合は、桜チャンネルなど保守系の発信に支障がでており、しかも復旧が七月末になるというから大きな被害がもたらされた。
サイバー戦争に於いて、日本の専守防衛という退嬰的な発想が限界にきていることを物語っている。

 これまでにも発電所、緊急医院や水道局、変電所、港湾ターミナル、空港、鉄道駅など社会のインフラを狙う恐喝ハッカーが猖獗し、民間企業でも大手銀行、菓子製造メーカーや就中、トヨタなどは全工場が操業停止に追い込まれたほど。

 おそらく米国は中国系ハッカー部隊への攻撃を仕掛けてきたと推測されるが、中国は自分たちが受けたダメージについては発言をしない。

   ○☆◎☆◎ミ○☆◎☆◎ヤ◎☆◎○☆ザ◎☆○☆◎キ◎◎○☆□

 

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