「宮崎正弘の国際情勢解題」 
     令和六年(2024)2月20日(火曜日)
        通巻第8141号
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 中国、ブータン国境に三つのムラを建設(兵舎の可能性)
   発電が輸出トップのブータン、インドと新発電所建設プロジェクト
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 ブータンはGHP(幸福度)で世界一。7000メートルの山々に囲まれ、農業の他に、これという産業はなく、観光と言っても、山男らのトレッキングが主体。
 面積は九州ていど、人口は72万人しかいない。だが日本で人気があるのは若い国王夫妻のはにかんだ態度と親日家として来日したおりの印象が爽やかだったことだろうか。

 首都のティンプーはこじんまりとまとまった中世の宿場街のような景観で、筆者も一週間ほどブータン各地を巡ったことがあるが、緑の雪山と清流、ホントにのんびりしている。

問題は「あの国」と470キロも国境を接していることだ。
 秘境で地図もなく、なにしろ道路がない高嶺に、中国人が這入り込んで冬虫夏草をぬすみにくる。冬虫夏草は癌に効くとされ、中国人には異様な人気がある。

 ブータンの軍隊は陸軍だけで1万足らず、そのうち7000人は国王親衛隊。警察は千名、空海軍はなく、防空はインド空軍まかせである。
このためインドの軍事顧問団が1500名ほど駐在している。豊かな水力を利用した発電により、ブータンはインドに電力を輸出している。

 『サウスチャイナ・モーニングポスト』(2024年2月20日)は、ブータンとの国境に中国が三つのムラを建設したと報じた。軍人の兵舎の可能性が高い。
もともと国境を接するのはティンプー、ガサ、パロ、ハの四縣で、ドグラム高原の領有をめぐった軍事衝突が何回か起きている。中国が軍用道路を開き兵舎を建設し始めたのは既に十数年も前からだ。中国の軍事戦略ではネパールへの南進と同様にブータン政府にBRI(一帯一路)プロジェクトを持ち掛けてきた。

懸念を広げるのはインドである。
事実上インドの保護国といえるブータン防衛は地政学的意味からもインドにとって重要な上、インドのアルナチャル・プラデッシュウ州、アッサム、シッキム地方、そしてベンガルなどとブータンは605キロの国境と接する。

 ◎◎み○☆や◎☆ざ○☆き◎☆◎ま○☆さ◎☆ひ◎◎ろ○☆

 

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