野良犬の値段 / 百田尚樹 | mfcs's favorite things

mfcs's favorite things

純粋なる音の繋がりは、人にどこまで感動を与えることができるのでしょう... とりあえず私の場合はこんな感じです。

永遠のゼロ、ボックス、モンスター、海賊と呼ばれた男、風の中のマリア。。数々の素晴らしい作品を輩出されてきた百田尚樹さんのペンによる初のミステリー小説となれば、これはもう単行本を買って読むしかありません(^^)

ある青年が見つけた、ツイッターのタイムラインに流れていた「誘拐は割に合わないビジネスか?それともショーか?」というメッセージ。そこに貼られていたURL "kidnapping-XXX.com" を辿ると「私たちはある人物を誘拐しました。近日、この人物を使って、"実験" を行います」という謎めいたサイトが。訪問者数を示すアクセスカウンターは1。そこで青年は "誘拐犯発見!" というメッセージを、サイトのURLとともにツイートする。ほどなくして大量のリツイートとともに一気に拡散され。。

SNSを巧みにストーリーに織り込むあたり、普段からツイッターを使って力強い発信をなされている百田尚樹さんならでは、といったところでしょうか。妙にリアリティがあります。最初の誘拐犯発見者として注目された青年は、さらにフォロワーを増やしたいという気持ちから、あたかも誘拐犯の一味あるいは情報通のような振る舞いのツイートを行ってしまうのですが、翌日のサイトにはその通りの反応がなされ。。

このサイトは手の込んだいたずらか、それとも本当に誘拐という重大犯罪が進行しているのか。憶測と疑心暗鬼が入り乱れる中、サイトには6人の誘拐された男たちの顔写真が公表され、既定メディアを司る新聞社・テレビ局に身代金の要求が。。

ネタバレになるので、話のあらすじはこの辺でやめておきます。読み始めたら止まりません。おかげで明日から仕事だというのに寝不足です(^^) 

ところで今回の小説でも(カエルの楽園2020ほど露骨ではないですがw)固有名詞にそれ風のものが出てきます。大和テレビ、東光新聞、JHK、常日新聞(笑)。あとJHKの経営委員 八田尚義(爆笑) 他にもワイドショーのコメンテーターやギャーギャー議員も一瞬登場しますw

しかしこの小説。ミステリーというかたちをしてはいるのですが、そのベースに流れているのは、やはり社会問題というべきでしょう。タイトル「野良犬の値段」の意味するところ、非常にナイーブな問題を端的に表しており、考えさせられます。そして、これは百田尚樹文学の王道と言えると思うのですが、逆境から立ち上がる強い主人公。読んでいてメチャ応援したくなるんですよね(^^) 他にも、普段はイマイチ冴えないのだけど突然本質を突くような発言をする若者や、役職や出世には目もくれず現場一筋でやってきたベテランとか。そしてほっこりするラスト。もう出来過ぎといえばそうなのかもしれませんが、ホントの正義ってなんだろう、と思わせてくれるところも百田尚樹文学の醍醐味だなぁ、と思いました。