①日曜日 | 身から出た素描

①日曜日

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その男は、単調な毎日に少しだけ焦りを感じていた。

テレビで病気を克服した人のドキュメンタリーを観ていたときに、これだと思いたった。

いつ何で自分も死ぬかわからない。自分の寿命があと1週間と仮定して、精一杯に生きてみようと決めた。

どうせ機会をみて辞めようと思っていた今の仕事も、思い切って辞めることにした。

自分はあと1週間しかないのだ。そう考えるとまず今の仕事程無駄な時間の使い方はない。

冷蔵庫の中を入念にチェックし、簡単な食事を作った。
携帯電話をいじりながら、音信の途切れた昔の友人などに思いを馳せた。
自分と関わってきてくれた人こそ財産。そんな気持ちになり、アドレスが入っている人間全員に2時間以上かけてメールを打った。

実家の両親や兄弟には、明日帰るからと告げた。

沢山の友人との沢山の思い出にひたって眠る一日目であった。