コロナ危機 家賃不払いをどうするか。2020.4月末に向けて | 御苑のベンゴシ 森川文人のブログ

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 あと半月で月末を迎え、多くの飲食店、中小企業等の家賃滞納が始まることが予想されます。ある不動産仲介業の会社には、今も毎日、10件ほどテナント側から家賃が払えそうもない、賃貸人(大家)に減額ないし猶予をお願いしてほしい、との連絡が入るそうです。

 

 日本に限ったことではなく世界中に起こっており、アメリカでは「レント・ストライキ(家賃不払いスト)」運動という形で家賃だけではなく住宅ローン、光熱費の請求を二ヶ月停止せよ、という要求を掲げた運動が拡がっているとのこと(日経4/2等)。

 

 家賃滞納による賃貸借契約の解除・立退き、というのは街弁としては、一年目から関わる基本的業務の一つですが、賃貸人(大家)側に就いても、賃借人(店子)側に就いても、一筋縄にはいきません。

 

 たいていの賃貸借契約書には、「家賃を2ヶ月分滞納すれば無催告で解除できる」などということが書かれていますが、実際には簡単にはできません。判例上、「信頼関係を破壊する程度」に滞納した場合とされているので、ある程度(事案によるが数ヶ月程度)の滞納が積み重ならないと解除・立ち退きを認めることはありません。

 

 なので「賃料が払えない、すぐに追い出されてしまう」ということはない。ですが、いずれにせよ賃借人側が一方的に、減額をしたり、支払わないことは債務不履行にカウントされます。

 

 国土交通省も賃貸人側に「賃料の支払いの猶予に応じるなど柔軟な措置の検討」を促さざるをえない事態です(3/31)。

http://www.mlit.go.jp/report/press/totikensangyo16_hh_000201.html?fbclid=IwAR0chz5gp9xCb5GVqefyTW5J0SgDgMLH0Hh-tO8LTXkCEK9rAG2YcdbWUAU

 

 よほどの不動産王ではない限り、賃貸人(大家)側も、その建物を建てた資金の返済ローンを支払っていたり厳しい状況にはなり得ます。しかし、「自粛」を余儀なくされた飲食店が休業中の従業員の給与を支払った上、家賃を支払うのはかなり大変な状況でしょう。

 

 突然、もしくは黙って支払わないよりは、事前に賃貸人側に連絡・打診をした方がいいと思います。それは「信頼関係」(判例)を維持しようとした要素としても評価され得ると思います。

 

 賃貸人にとっても賃借人が居なくなる=賃料収入が無くなる、ということですから、よほど立地がいい場合(同条件で次の賃借人がすぐ見つかるような)などは別として避けたいはずです。

 

 以上は実務の現場では当たり前のことですが、この時期に発信しておくことは意味があると思い、書きました。まずは、連絡、打診、交渉だと思います。