「おい、どうする?」(カストロ)「うん、そうだな、ぼちぼち革命だな」(ゲバラ)って話しているわけではないでしょうが、何かを真剣に「共謀」しているようです、資本主義体制の視点から見れば・・・。
実際、今般の共謀罪を政府がどうしても欲しいのは、現体制に逆らう思想・運動の萌芽を叩き潰すこと、だと思います。批判勢力<反体制勢力<革命勢力になるような不満と怒りが私たちの中に燻っていることを政府は気がつき、その爆発を恐れているからこそ、共謀罪で弾圧したいのでしょう。
現にそのようなデタラメの弾圧は始まっています。
今年の2月、こんな逮捕・勾留が実際になされています。
逮捕・勾留の根拠となったのは「被疑者は、革命的共産主義者同盟全国委員会(通称「中核派」。以下「中核派」という。)の活動家であるが、社会福祉法人・・・の施設利用について、福祉活動又は保険活動等を行う営利を目的としない団体及びこれらの活動に従事する者が同活動のために利用することを要件とする福祉保険活動従事者の利用区分の利用料金で利用できることに乗じて、財産上不法の利益を得ようと考え、・・・真実は、中核派の集会等の活動のために施設を利用する意図であるのに、あたかも、精神障害者に対する自立。就労支援事業等・・・の活動のために利用するかのように装」って差額28,600円を詐欺したとのこと、です。
画期的(!)なのは、これは横浜地裁の國井恒志裁判官が、これで勾留を認めた、というところです。「被疑者は、革命的共産主義者同盟全国委員会(通称「中核派」。以下「中核派」という。)の活動家である」という点を、どのように証拠で認定したのかもさることながら、これが犯罪とどう関わるのか、そして具体的には「労働組合交流センター総会」や「国鉄闘争**交流会」を「真実は、中核派の集会」とどのような根拠で認定したのか、など法律家としては極めて疑問です。
これでは、あたかも「中核派」罪ということです。集会のいわば「性格」「意味性」を裁判所が認定し、それゆえに犯罪=詐欺罪であるとして勾留を認めていることになります。
結局、その後、検察は起訴もできなかった、いや、しなかったわけですが、裁判所は勾留を認めた、という点を問題にする必要があります。裁判所は、後に起訴もできないような証拠であっても勾留はやすやすと認める、ということです。
また、メディアと警察リークの関係も問題です。これまた、今年1月に逮捕・勾留されたいわゆる「白タク事件」では、いきなり以下のような報道がされました(1/18)。
白タク容疑、中核派の**市課長ら逮捕 反原発運動に乗じ犯行か/県警
県内から福島県への往復を無許可のまま有償で参加者を送迎したとして、県警公安3課と川越署は18日、道路運送法違反(無許可経営)の疑いで、いずれも中核派活動家の**市***丁目、**市障がい者福祉課長の男(58)、上尾市原市、職業不詳の男(62)、**市**、無職の女(76)を逮捕した。公安3課は認否を明らかにしていない。(埼玉新聞1/18)
これまた、「中核派の」とか、「反原発運動に乗じ犯行か」とか、なんだか差別とデタラメのオンパレードですが、警察リークなのだと思います。「反原発運動に乗じ犯行」ではなく、福島に行くレンタカーの割り勘自体が犯罪、つまり「反原発運動そのもの」を犯罪、としているわけで、この点もあまりにも報道として不正確でしょう。もちろん、それを狙ったリーク。
このとおり裁判所は、ほぼフリーハンドで警察・検察のいいなりで逮捕・交流を認めるのが実情ですし、メディアも思想差別まんまの警察リークを垂れ流す始末、これが現状です。
さて、この現状下で、共謀罪が成立したらどうなるのか?
権力側からすれば、この時代・世界に不満を持ち集まって声を上げる、つまりゼネストを行うなどの力を大衆が大衆として持つことを絶対に阻止したい。だったら、そういう可能性のある思想・発想・運動・連絡・つぶやき・告知・SNSなどを昨年、拡大された「通信傍受」でいち早く把握し、ともかく人と人の意思の交換=団結・連帯の形成をつかめば、それは「共謀」罪として逮捕。先の詐欺でさえ、勾留を認める裁判所ですから、277の犯罪カタログから選んでテキトーに被疑事実を作れば、裁判所は簡単に逮捕・勾留を認めるでしょう。さらに捜索令状でガサ入れ。で、メディアにテキトーな情報をリーク。これで、弾圧一丁出来上がり!
こんなことは起こらないと思う?そこまでやらないだろう?って。そりゃ、一部の「過激派」に対してだけだろうって(そもそも過激派ってなんだよ?)?
そうなのかなあ。
はじめに彼らは共産主義者に襲いかかったが、私は共産主義者ではなかったから声をあげなかった。
つぎに彼らは社会主義者と労働組合員に襲いかかったが、私はそのどちらでもなかったから声をあげなかった。
つぎに彼らはユダヤ人に襲いかかったが、私はユダヤ人ではなかったから声をあげなかった。