ぼくらの表現の自由なんだぜ! | 御苑のベンゴシ 森川文人のブログ

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 表現の自由の原則からすれば、誰だって何を言っても構わない、というのが、まさに原則だと思います。気に食わなければレッテルを貼り、「バカ」「サイテー」「まぬけ」「むかつく」さらに「死ね」「日本から出て行け」等々・・・。

 言う内容によっては、マナー違反から、不法行為、さらには、脅迫や名誉毀損などの犯罪に認定されるのが現状の法制度下での表現の自由の現実ですが、本来、規制には用心深くあるべき、と私は思います。

 だったら言いたい放題でいいの?・・・いやいや、人の真面目な行為を「まぬけ」だなんて言い放つ人は、私たちの中でさらに批判に晒されるでしょうし、相応の社会的評価・歴史的評価に落ち着くことになるのではないでしょうか?そういう意味では、言いたい放題が、自ずと「議論」に収斂されていく、それが真っ当な表現の自由のフィールドのあり方でしょう。

 「名誉毀損」が犯罪と定められているのは、権力批判などを抑えるための表現の自由に対する極度の規制だ、という「見方」もあり、表現の自由の抑制・制限には注意深くなる必要があると思います。

 もっとも、どうしたって社会の最低限のルールとして認められる法的規制としての名誉毀損や侮辱、さらには脅迫に当たる場合は実際あるので、その場合は、司法機関を利用することもありうるでしょう。

 それでも、何よりも、皆で注意しあう、諌め合う、仲間であればあるからこそ「お前、それおかしいよ」と言いあえる関係、そのような社会にありたいと思います。ネットでさらにコミュニケーションが拡大したのだし。
 ・・・難しいですけどね、それぞれのコミュニティーのオーソリティーの発言だったりする場合には。あと、なんというか「横並び意識」というか、言い出しっぺになりたくない、自分でやりたくない、というのもあるでしょう。私だって同じです。

 今般、6月にSEALDsのステートメントを批判(もちろん、批判のための批判ではなく、議論を進めるための問題提起として行われたものです。)した外国人女性の学者に対し、バッシングがなされ、その方は大変な精神的な打撃を受けました。しかし、傷つけられた心と名誉を挽回するために、自ら立ち上がったのです。
 結果、今般、「乙(注 加害者)は,本件言動が名誉毀損及び脅迫に該当し得る行為であったこと,及び甲(注 被害者)が本件言動を名誉毀損及び脅迫であると認識して多大なる精神的苦痛を受けたことを真摯に受け止め,一方的な言動を行ったことにつき,甲に深謝する」との謝罪を得ることができました。加害者の方も賢明な判断だと思います。この謝罪に嘘はないと信じたいですね。

 私たちは、中身についての意見の応酬をすべきでしょう。「サイテーだ」「まぬけだ」レベルの自ら言論を放棄した、ある意味、「非暴力」からもっとも遠い表現(それをも表現と呼ぶのであれば)を用いることに対し、もっと敏感に、かつ毅然とした態度をとるべきなのでは、と思います。

 もちろん、その時代の体制内の言論に対する「外」からの発想を持った批判に対しては多くの人が条件反射的なアレルギーのような嫌悪を示す、それが「教育」や「常識」の中心にある以上仕方ないかもしれません。それにしても、再批判としてきちんと中身が語られなければ何が言いたいのかわかりません。



 さて、ヴォルテールが言ったという「私はあなたの意見には反対だ。だがあなたがそれを主張する権利は命をかけて守る」という言葉。この時代、虚しく響くか、規範となるのか。いずれにせよ、選ぶのは、そして実践するのは私たち自身ってことですよね。だって、ぼくらの「表現の自由」なんだぜ♪