常に気にしていたんだ。
青いワンピースの双子が意地悪そうに指を指しても、
大きなテーブルで相席になった中国人が
母の料理に大量の山椒をぶっかけても…。
僕は常に気にしていたんだ。
だから100人は乗れるだろうエレベーターで
僕の部屋がある12階までは降りないつもりだった。
しかし狼狽えたのは車椅子の老婆だ。
無言の圧力にそこを譲るしか術がなかった。
エレベーターを降りた僕は次のエレベーターを探す。
僕は常に…。
だから12階の部屋で正装に着替えてから出かけなくてはいけない。
大事な打ち合わせだ。遅れる訳にはいかない。
でも急ぐ必要はない。この街(異国)は小さい。
トラムで街を一周するのに30分もかからないだろう。
大丈夫だ。まだ時間は充分ある。
有楽町まで…。逆算する。有楽町??
夢の中で夢と自覚すること。
あたしの場合は特に自覚が浅いものと深い…
つまりより明確なものと2種存在するのだけど今回は稀な後者。
より覚醒しているからあらゆることを考えている。
夢であるからその内覚める事を理解しつつ、、
しかしそれまではこの世界に身を委ねなくてはいけない。
いつしか砂漠の情景になっている。どこまで歩けば…。
そうこうしている内に場面がどんどん切り替わる。
覚醒のきっかけが全くつかめないことに苛立ちつつ、
加えて何故か現実の自身の立場や環境を一切思い出せない事。
どこに居て何をしているのか?季節は?曜日は?
夢とわかっていながら不安と焦りで…。
瞬時にその景色を理解することはできなかった。
そして酷い疲労感だ。数時間にも感じられた夢の世界は
現実にはほんの数分?数秒だったのかもしれない。
所謂金縛り…
脳だけが覚醒し現実を捉える現象も気味が悪いが
夢の中で強く覚醒する事もやっぱり気味が悪い…。
*

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