『総在一念抄』(佐前) | 細雪の物置小屋

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[参考]『日蓮大聖人の「御書」をよむ 上 法門編』著者・小林正博
発行所・株式会社第三文明社
『日蓮大聖人の「御書」をよむ 下 御消息編』著者・河合 一
発行所・株式会社第三文明社

 問うて云(い)はく、法華以前の諸経の中に円教と云(い)ひて殊勝(しゅしょう)の法門を説く、何(なん)ぞ強(あなが)ちに爾前(にぜん)の諸経をば仏の種子と成らずと之を簡(えら)ぶや。答へて云はく、円教を説くと いへど(雖)も、彼(か)の円は仏の種子を失へる声聞・縁覚・悪人・女人を成仏すと説かざるが故(ゆえ)に円教の至極(しごく)にあら(非)ず、究竟(くきょう)に非(あら)ざるが故に仏意を挙(あ)げず、故に又 仏智にもあらず、されば成仏の種子に非ざるなり。之に依(よ)って諸経をば法華に対して 皆 簡ぶなり。爰(ここ)を以(もっ)て大師の云はく「細人(さいにん)・麁人(そにん)二(ふたつ)倶(とも)に過を犯(おか)し、過の辺に従(したが)って説いて倶に麁人と名づく」云云。仍(よ)って余経をば妙法蓮華経と名づけざるなり。
(平成新編0114~0115・御書全集ーーーー・正宗聖典----・昭和新定[1]0229~0230・昭和定本[1]0084)
[正嘉02(1258)年(佐前)]
[真跡、古写本・無]
[※sasameyuki※]