人界 所具(しょぐ)の仏界は水中の火、火中の水、最も甚(はなは)だ信じ難(がた)し。然(しか)りと雖(いえど)も竜火(りゅうか)は水より出(い)で 竜水は火より生ず、心得られざれども現証 有れば之(これ)を用(もち)ゆ。既(すで)に人界の八界 之を信ず、仏界 何(なん)ぞ之を用ひざらん。尭舜(ぎょう しゅん)等の聖人(しょうにん)の如(ごと)きは万民に於(おい)て偏頗(へんぱ)無し、人界の仏界の一分(いちぶん)なり。不軽菩薩は所見(しょけん)の人に於て仏身(ぶっしん)を見る、悉達太子(しったたいし)は人界より仏身を成(じょう)ず、此等(これら)の現証を以(もっ)て之を信ずべきなり。
(平成新編0648・御書全集0242・正宗聖典0147~0148・昭和新定[2]0961~0962・昭和定本[1]0706~0707)
[文永10(1273)年04月25日(佐後)]
[真跡・中山法華経寺(100%現存)]
[※sasameyuki※]