『就註法華経口伝(御義口伝) 上 序品』(佐後)[古写本] | 細雪の物置小屋

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[参考]『日蓮大聖人の「御書」をよむ 上 法門編』著者・小林正博
発行所・株式会社第三文明社
『日蓮大聖人の「御書」をよむ 下 御消息編』著者・河合 一
発行所・株式会社第三文明社

第五 下至阿鼻地獄(げしあびじごく)の事
 御義口伝に云(い)はく、十界皆成(かいじょう)の文(もん)なり。提婆(だいば)が成仏 此(こ)の文にて分明なり。宝塔品の次に提婆が成仏を説く事は二箇の諫暁(かんぎょう)の分なり。提婆は此の文の時 成仏せり。此の至の字は白毫(びゃくごう)の行く事なり。白毫の光明は南無妙法蓮華経なり。上至(じょうし)阿迦尼■(=吸-及+託-言)天(あかにだてん)は空諦(くうたい)、下至阿鼻は仮諦(けたい)、白毫の光は中道(ちゅうどう)なり。之(これ)に依(よ)って十界同時成仏なり。天王仏とは宝号(ほうごう)を送るまでなり。去(さ)て依正(えしょう)二報の成仏の時、此の品の下至阿鼻地獄の文は依報の成仏を説き、提婆達多の天王如来は正報の成仏を説く。依報正報共に妙法の成仏なり。今 日蓮等の類(たぐい)聖霊(しょうりょう)を訪(とぶら)ふ時、法華経を読誦(どくじゅ)し、南無妙法蓮華経と唱へ奉(たてまつ)る時、題目の光 無間(むけん)に至って即身成仏せしむ。廻向(えこう)の文 此より事 起こるなり。法華不信の人は堕在(だざい)無間なれども、題目の光を以(もっ)て孝子(こうし)法華の行者として訪はんに豈(あに)此の義に替はるべきか。されば下至阿鼻地獄の文は、仏 光を放(はな)ちて提婆を成仏せしめんが為なりと日蓮 推知(すいち)し奉るなり。
(平成新編1723~1724・御書全集0712・正宗聖典0401・昭和新定[3]2749~2750・昭和定本[3]2610~2611)
[弘安01(1278)年01月01日(佐後)]
[古写本・上 富士大石寺、下 京都要法寺]
[※sasameyuki※]