夫(それ)始め寂滅道場(じゃくめつどうじょう)・華蔵世界(けぞうせかい)より沙羅林(しゃらりん)に終はるまで五十余年の間、華蔵・密厳(みつごん)・三変(さんぺん)・四見(しけん)等の三土四土(さんどしど)は、皆成劫(じょうごう)の上の無常の土(ど)に変化(へんげ)する所の方便・実報・寂光・安養・浄瑠璃(じょうるり)・密厳等なり。能変(のうへん)の教主涅槃に入(い)りぬれば、所変(しょへん)の諸仏随(したが)って滅尽(めつじん)す。土も又以(もっ)て是(か)くの如し。
今本時の娑婆世界は三災を離れ四劫を出(い)でたる常住の浄土なり。仏既(すで)に過去にも滅せず未来にも生ぜず、所化以て同体なり。此(これ)即ち己心の三千具足、三種の世間なり。迹門十四品には未だ之(これ)を説かず、法華経の内に於(おい)ても時機未熟の故か。
(平成新編0653~0654・御書全集0247・正宗聖典0154・昭和新定[2]0967~0968・昭和定本[1]0712)
[文永10(1273)年04月25日(佐後)]
[真跡・中山法華経寺(100%現存)]
[※sasameyuki※]