『富木殿御返事』(佐後)[真跡] | 細雪の物置小屋

細雪の物置小屋

御宗祖御開山遺文DBを中心に投稿します。
[参考]『日蓮大聖人の「御書」をよむ 上 法門編』著者・小林正博
発行所・株式会社第三文明社
『日蓮大聖人の「御書」をよむ 下 御消息編』著者・河合 一
発行所・株式会社第三文明社

 鵞目(がもく)一結(ひとゆ)ひ、天台大師の御宝前を荘厳し候ひ了(おわ)んぬ。
 経に云はく「法華最第一なり」と。又云はく「能く是の経典を受持すること有らん者も、亦復是くの如し。一切衆生の中に於て亦為(こ)れ第一なり」と。又云はく「其の福復彼に過ぎん」と。妙楽云はく「若し悩乱する者は頭七分に破れ供養すること有らん者は福十号に過ぐ」と。伝教大師も「讃むる者は福を安明(あんみょう)に積み、謗る者は罪を無間に開く」等云云。記の十に云はく「方便の極位に居る菩薩猶尚(なお)第五十の人に及ばず」等云云。華厳経の法慧(ほうえ)・功徳林(くどくりん)・大日経の金剛薩■(=垢-后+垂)(こんごうさった)等、尚法華経の博地(はくじ)に及ばず。何に況んや其の宗の元祖等法蔵(ほうぞう)・善無畏(ぜんむい)等に於てをや。是は且(しばら)く之を置く。尼ごぜんの御所労の御事、我が身一身の上とをも(思)ひ候へば昼夜に天に申し候なり。此の尼ごぜんは法華経の行者をやしなう事、灯(ともしび)に油をそ(添)へ、木の根に土をかさ(培)ぬるがごとし。願はくは日月天其の命にかわり給へと申し候なり。又をも(思)いわす(忘)るゝ事もやと、いよ(伊予)房に申しつけて候ぞ。たのもしとをぼしめせ。恐々謹言。
(平成新編1578・御書全集0978・正宗聖典----・昭和新定[3]2183~2184・昭和定本[2]1818~1819)
[弘安04(1281)年11月29日"弘安03(1280)年11月29日""建治02(1276)年11月29日"(佐後)]
[真跡・中山法華経寺(100%現存)]
[※sasameyuki※]