職業柄、ホルモンについて(女性ホルモンだけでなく、幸せホルモンや睡眠ホルモン等についても)
講演する機会があります
人間の身体は、”常に同じ状態が保たれる(=恒常性)”という仕組みがあり、
そのシステムの基盤となるのが「自律神経」「内分泌(ホルモン)」「免疫」の3つなんです
中でも、体内には100種類以上のホルモンがあり、脳・甲状腺・膵臓・卵巣‥などから
毎日(毎月)決まった量が適切に分泌されている‥ とても繊細な仕組みですね
特に、妊娠~産後にかけてのホルモン変化は、他のホルモンとは比にならないほどのスケールで
ただでさえ、毎月女性ホルモンが周期的に増減するおかげで、
私たち女性はPMSや排卵時期の体調不良などを感じているのに、
妊娠中は、非妊娠時の月周期の100倍以上も女性ホルモンが爆増します
(出産後にできるニキビの症状と原因 | 美肌ルーシー (lucy-moore.com)より画像拝借)
そして、あろうことか産後数日でほぼゼロに
よくセミナーでもお話しますが、こんなジェットコースターのようなホルモン変動は
ほかの臓器ではほぼ起こらない現象です
マタニティーブルーや産後鬱の話がありますが、
そりゃこんだけ急降下したら誰だって情緒不安定になるわと思います(納得)
①マタニティーブルー
産後3日~10日頃に、漠然とした不安・悲しみ・イライラなどを感じる(全体の30~50%が経験)
ホルモンの急変動による一時的な変化なので、そのまま改善することが多い
治療は原則不要:カウンセリング、漢方薬、眠れないときは睡眠薬など
②産後うつ
2週間以上続く抑うつ症状(気分の落ち込みや自責など) (全体の5~10%が経験)
1か月健診の質問票で疑わしければ、メンタルクリニックでの治療
非常に悲しい話ですが、2022年に産後1年以内に自殺で亡くなった女性は65名‥
女性は産後1か月までは産科に通いますが、それ以降はもっぱら小児科のみで。
真面目で責任感の強いお母さんほど、自分ひとりで頑張りすぎてしまうのですね‥
マタニティクリニック勤務の身としては、たとえ産後数か月が経過していても、
「ちょっと疲れちゃって‥」と連絡頂けたら、メンタルクリニックへ紹介することもできますが、
こればかりは制度の穴を感じます
なんとか、お母さんたちの相談相手や少しでもホッとできる場所が増えることを願います
次回は「産後に妻の機嫌が悪くなる(攻撃的になる)こと」の、医学的な裏付けについてお話しようと思います