これは、
人生の2周目を歩く男が、
「選択の違い」を受け入れていく物語。
多くの人は、
体が叫ぶまで動かない。
それが悪いわけではない。
ただ、そういうものだ。
分からない人が多い。
だからこの世界は、
いろんな選択でできている。
必要になったとき、
人は動き出す。
それだけのことだ。
だがもし
何も起きていない今、
ほんの少しだけ体に意識を向けたら。
何かが劇的に変わるわけではない。
だが、未来のどこかで、
静かな差が生まれる。
亨はラナイに立つ。
マリオット・コオリナ・ビーチ・クラブの海は、変わらず青い。
この景色を、亨は知っている。
壊れてから慌てる景色も。
整えているだけの穏やかな景色も。
どちらを選ぶかは、自由だ。
今はただ、
届く人に届けばいい。
それくらいの距離が、ちょうどいい。
今日も体は、何も言わない。
それを当たり前と受け取るか。
ありがたいと受け取るか。
違いは、それだけかもしれない。
亨は深く息を吸う。
そして
何も起きていない今日に、静かに感謝した。
——つづく
