『愛おしき隣人』


「散歩する惑星」のロイ・アンダーソン監督。
愛おしき隣人
 
舞台は北欧の街。
十人十色、様々な境遇の下にいる住人達が、
口々に自らの不幸や不満、現状について独白する。
語りかける相手は、映画を見てる私達。

内容は、現状への不満だったりロックスターへの思い
だったり仕事のことや生活の不安のことと様々だ。

見ているこちらも身につまされたり同感したり笑えたり、
自分のことを見ているようでもあるが、客観的に見ることで
本人には重大な問題もそんなに大したことではないように
思えてきたりする。

北欧独特の雰囲気はアキ・カウリスマキや「カモメ食堂」を思い起こさせる。
静かで無駄な物がなく、うるさくない。無口な空間。大げさに動くことのない表情。
スッキリしたシンプルなインテリアや装飾の簡素さは、ジャック・タチ監督の
「ぼくの伯父さん」「プレイタイム」辺りとも繋がるだろうか。

色々あるけど、みんながそれぞれ自分のやり方で、自分の人生を生きている。
毎日特に変わった事が起こらなくても、”特別”はない人が”特別”ではない
日常を受けとめて過ごしていく。
普段言えないような思いを抱えていたりするけれど。

北欧の空気の下では、何だかそれが当たり前のように淡々と進んでいく。

それはわかるのだけど、それはそれでいいのだけれど…
それだけで終わってしまった。
もちろん事件や”特別”な出来事を望んでた訳ではないけれど
散文的に人物とその背景を紹介して終わってしまった感が残る。

例えば、相互の関係性を絡めて描くような展開が欲しかった気がした。
直接関わりを持つとか会話するんじゃなくても、すれ違いの関係性の面白さとか
同じ場所で違う時間に起こる出来事…多少はあったと思うが…
その辺りに消化不良が残ってしまった。

雰囲気が心地よく期待してしまっただけに、残念。