イノセント・ボイス 12歳の戦場』★★★★★
(2004年・メキシコ)

イノセント・ボイス

監督=ルイス・マンドーキ
出演=カルロス・パディジャ、レオノア・バレラ
   ホセ・マリア・ヤズピック 



絶対、絶対、絶対、見て欲しい。
これは映画、というよりも「事実」なのだ。
見て、たくさんの人に知って欲しいと願う。
これは中米の『ホテル・ルワンダ』だ。ただ、救われる話じゃない。
思い入れのある私は、涙が止まらなかった。
顔が隠れる帽子を被っていって良かった(笑)

1980年!!そんなに昔の話じゃない。
内戦が続く中米エルサルバドルの小村。
”北”へ旅立った父親の帰りを待ちながら、3人の子供を育てる母親。
田舎の村でも、戦闘は遠い話じゃない。夜間外出禁止令が布かれ、突然
銃撃戦が始まる事も度々ある。政府軍ゲリラ軍”北”の大国の軍事
援助、派兵。

内戦は、他国との戦いのように住民を巻き込まないという名目もなく、
一般住民の間での戦いなのだ。母親の弟は、ゲリラ軍に参加している。
働き盛りの男達もみな戦闘にかり出され、村にはいない。子供達も例外
ではない。母親も子供も、12歳の誕生日を恐れている。12歳(!)に
なると、強制的に政府軍徴兵されるのだ。

戦闘の中でも、子供達は生き生きとしている。友達との遊び、ガール
フレンドとのデート初恋。戦争すら遊びのひとつかのように、無邪気
に過ごす。母親が真剣な顔で怒るのも、生命の危険があるからだという
危機感は感じていない。

それでも戦闘は、現実は、子供達を巻き込んでいく。学校に乗り込んで
12歳になった子供を連れて行く政府軍。徴兵されたアントニオは、軍服
を着て、チャバ達が遊ぶ前で、銃を撃ち自慢してみせる。わずか12歳
子供が機関銃を操るのだ。そして、学校さえもが戦場となる。

子供達が闘い殺し合う戦争。そして、最後の川辺でのシーンには、思わず
目を覆いたくさえなる。やっぱり同年代の子供を持つ母親にはすすめない。
あまりに辛すぎる。

チャバの瞳は、柳楽くんに劣らず印象的だ。その瞳には、嬉しさ、楽しさ、
怒り、悲しみが素直に映し出される。雄弁に語る。

内戦が終結したのは1992年!ついこの前のことだ。そして、未だ国内には
戦禍が残る。貧困と民族解放問題。2001年に起きた地震と、洪水の災禍。
中米各地には、同様の先住民と政府との対立の火種はくすぶっている。

チャバが生きて、この事実を語れた事を喜びつつ、今も、チャバのような
子供達がいる事を、絶対に忘れてはいけない。この映画の2時間は、決して
長くない。見て退屈なんてする暇もない。都内では3月10日までらしいが、
もっともっとたくさんの人に見て欲しい映画だ。