事例Ⅰ〜Ⅲでは、「与件文」を読む前に、「時系列SWOT」というフレームを創って、「設問文」からこのフレームに設問を対応させ、更に、「解答骨子」を作っていました。
事例演習するときは、この「時系列SWOT」に与件文を対応させてゆきます。
すると、与件文を読む前にある程度、どんな内容か、また、どんなことが題意になっているか、想定できるようになっていきます。
今日は、事例Ⅰで、実際に「時系列SWOT」フレームを使って、与件文を読む前に、解答骨子を作って見ましょう。
時系列SWOT(R2事例Ⅰを表現しました)
事例ⅡやⅢとは異なり、事例Ⅰは、時系列SWOTが使いにくいかもしれません。なぜならば、与件文の時系列がわかりにくいからです。実際に、R2では、A社の社長の祖父の話やM&Aの後の話ですから、時系列の現在以降にフォーカスすることが大事です。
設問と時系列SWOTの対応
令和2年の事例Ⅰで対応させてみましょう。(与件文を読む前での対応です)
- 第1問(1)の設問は、経営ビジョンです。
<着眼点>
事例Ⅰですので、人事と組織面でのビジョンと考えて、誰が、どのように、どう
する、というあるべき姿を示す。また、祖父の経営ビジョンであり、グループ会
社全体の経営ビジョンの可能性がある。
<時系列SWOT>
時系列では、「現在」であり、戦略策定プロセスでは、「ドメイン再定義」に対
応し、SWOTでは、「強み・機会」に対応します。
<解答骨子>与件文を読まない段階
「ビジョンは、(孫の)A社長がグループ会社の総帥への育成の一環として、A社の(強み・機会)活かし、グループ会社のシナジーを活かし、地域経済活性化を図る。」
- 第1問(2)の設問は、経営者を顧問として残し、ベテラン社員を引き継いだ理由です。
<着眼点>
企業買収により初めて経営する、特有のノウハウが必要な分野であるから、ノ
ウハウ吸収する必要がある。また、買収による従業員のモラールの低下を防ぐ
必要がある。これらは、一次の知識より容易に想定できる。
<時系列SWOT>
時系列では、「創業・成長」であり、戦略策定プロセスでは、「ドメイン再定
義」となり、SWOTでは、「強み」に対応します。
<解答骨子>与件文を読まない段階
「理由は、①○◯なノウハウ吸収、②○○によるモラール低下抑制、③○○によるA社長の育成、等である。」
- 第2問の設問は、情報システム化の手順です。
<着眼点>
ベテラン従業員の仕事の内容は?ボトルネック工程は?どのように効率化する
か?責任者に抜擢されるほどの何があるのか?を着眼点に与件文を拾いにゆく。
<時系列SWOT>
時系列では、「現在」であり、戦略策定プロセスでは、「個別戦略」であり、
SWOTでは、「脅威・弱み」に対応します。
<解答骨子>与件文を読まない段階
「手順は、①〜、②〜、③〜、④〜、である。」
- 第3問の設問は、どのような能力を伸ばすことを求めたか、です。
<着眼点>
ルート販売→直販方式、直販方式では、何が大事な事か?
直販方式に必要な営業的な能力は?
提案営業力、ソリューション力、コミュニケーション力
<時系列SWOT>
時系列では、「現在〜機会」であり、戦略策定プロセスでは、「個別戦略」であ
り、SWOTでは、「強み」に対応します。
<解答骨子>与件文を読まない段階
「能力は、○○に対し、○○で○○な提案営業力である。(ソリューション力、コミュニケーション力)」
- 第4問の設問は、グループ全体の人事制度の確立の留意点です。
<着眼点>
グループ間の、人材の適材適所の配置、バランス、モチベーション対策
(採用面、配置面、能力開発面、評価面、報酬面ではどうか)
<時系列SWOT>
時系列では、「理想」であり、戦略策定プロセスでは、「成長戦略」であり、
SWOTでは、「あるべき姿」に対応します。
<解答骨子>与件文を読まない段階
「留意点は、①〜、②〜、③〜、等である。」
まとめ
事例Ⅰでは、時系列SWOTで「切り分け」間違いを防止するという目的ではなく、時系列を整理するための意味合いが強くなります。また、SWOTの何が関係するかが分かります。そして、事例Ⅰのお作法(一次の知識)を設問を読む段階で「着眼点」として、列挙しておくことが肝要です。
与件文は、骨子の確認・内容を拾いに行く感じで読むと、与件文のマーキングもスムーズで、無駄がなくなります。