「お金持ち」の家は、まるで電話があることを誇示するかのように、多くは電話を玄関先に架設していたのです。
それは、電話を取りつぐ近所の人達への利便性というよりは、誇示する色合いが強く、また、家の奥まで入り込まれるのを嫌ったこともありました。
かかってきた本人は電話口に走り、玄関先で家の人に申し訳なさそうにヒソヒソ話をしていました。
また、電話をかけるにも当時は公衆電話もほとんど無く、「電話をかけさせてくれ」と、ご近所が夜昼構わず玄関先に出入りしていたのです。
バーチャルオフィス・レンタルオフィス
電話が終わると電話代として、お金を置いていこうとしたものの、ご近所の手前見栄を張りたい心理も働き、電話代を受け取るのを遠慮し、「いいですよ」と言いつつも、うちは公衆電話じゃないんだ、と愚痴をこぼしたりしていましたようです。
近所付き合がある手前、取りつぎを無碍に断れず、玄関先でヒソヒソ話をしていれば聞き耳を立て、詳しい内容は分からないにせよ、いい電話だったか、悪い知らせだったのか、その家の家庭の事情などを垣間見ることができ、電話を貸していることもあり、余計なお世話かもしれないけれど、アドバイスやら身上相談にのったりしていたようです。
これも一種の電話代行の草分け的意味があったのだと考えられます。
こうした現実はビジネスの世界では更に深刻でした。
自分の事務所を持ち、開業しようとしても、電話を持つことが時間を必要とし、とにかく電話番号さえあれば開業できる、とりあえず貸し電話で電話番号を借り、電話番を依頼し、開業にこぎつけました。
そうした中で、電話番号だけを持っても仕事場が自宅であり、仕事場が無いことの不便さもあり、電話番号だけでなく、貸し電話業の事務所内にたまたま空いていた机も借りるようになり、所在地と電話番号をセットで借り、名刺に刷れるようになりました。業者の机の上、壁などは電話だらけになったものです。
しかしながら、これも社会的に認知されているわけではなく、あまり普及はしなかったようです。
バーチャルオフィス・レンタルオフィス