美容院に行こうとしている。

テラスに落ちる雨の音を聞きながら。

車が跳ね返す水たまりの音を聞きながら。

タンポポの生成色の綿毛の上を飛び回る鳥の声を聴きながら。

美容院に行かなきゃと思っている。

新しいところをまた予約した。

2ヶ月続けて行ったお店は、リーズナブルな価格だがカラー剤がどうもあれだった。

安かろう悪かろう、でした。

髪の悩みが多いのか、接客にこだわり過ぎるのか。

どうにも美容院が定まらない。

故郷では歩けばうどん屋に当たっていた。

美容院も歩けばあたるほどあちこちに発生している。

ここがだめならハイそれまでヨ。

家族①、家族②は半ば呆れている。

「行きつけのところがあるから」

「もうずっとそこだし」

自分だけ一人前じゃない気がして、やんわり悔しい。

美容院に行ってくる。

寛大な気持ちで行ってみて来る。