川越蔵造り。

ここは平日でも混み合っている。

ここはひとりで歩くと凹む。

「必要なものを買いに来てます」

背中に貼り紙をして、気をしっかり持って歩かなければ呑まれる。

漂う観光モードに存在を消される。

ヒーリングのお店に直線で向かった。

想定通り混んでいた。

団体さんと目が合うと負けだぞ。

伏目がちに階段を上がろうとして視線を上げてしまった。

目が合ってしまった。

ターコイズブルーの瞳が清々しいほどに微笑んだ。

しまったあ。

負けた。

いや、負けじと笑み返した。

とんとんと階段を上がり、とんとんと心拍数もあがっていた。

すでにヒーリング効果を浴びた気分だ。

帰り道の蔵造りの町は、なかなかに楽しい気分だった。

屋久杉の数珠のおかげか、あの透き通った笑顔のおかげか。

どちらも連れて堂々とひとり歩きをした。

笑顔は世界を救う😊