新月に、願いごとを書くとよい。

どなたからか教えて頂いて5年は経つだろうか。

飽き性が、毎月たゆまず書き続けている。

続けていられる訳がある。

そうあり続けたいと願うことはそのままに。

こうありたいと願うことはひとつずつ。

どちらも静かに聞き届けられているのだ。

新月の朝に読んだ本の一文。

「亡き人に手紙を書いてみてはどうだろうか」

どうだろう、自分に語られているとしか思えなかった。

新しい月の始まりに新たな気持ちが生まれた。

言葉を紡ぐことは思いを確かめ届けること。

いつかその言葉は形になって戻ってくる。

呂色の筆で丁寧に綴り、空に向けて差し出した。