平田…
ちょっと、仕事中ごめん。前からね、声をかけてみたかったんだ…
今度、休みの日にね、ちょっと久しぶりに町に出ようと思うんだ けど…
この機会にね、平田をランチに誘いたいんだけれど。
予定つくってもらえない?
30年前、この一言が言えなかった。
愛することができない両親のゆえに、人間に絶望する深い傷が心に刻み込まれていたためだ。
だが、今、ようやくその傷を乗り越えられる。
これがおれの人生だ。
心の傷を乗り越え、おれ自身にあるあれを不幸にしようとする悪魔を倒すことが、
おれの人生の課題だった。
よかった。
死ぬまでに、達成できて。