成長なき金利の低下は財務活動による経営効率化を活発にする(マイクロソフトの自社株買いの例) | "MEMORANDUM"

成長なき金利の低下は財務活動による経営効率化を活発にする(マイクロソフトの自社株買いの例)

《自社株買い原資をすべて社債で賄ったマイクロソフト》


2010年9月下旬、マイクロソフトが計47億5000万ドル(約4000億円)の社債を発行した。
マイクロソフトはS&PとムーディーズからそれぞれAAAの格付けを取得しており、同社の社債は投資家の人気を集め、そのうちの3年債は表面利回り0.875%というまるで日本の債券のような利回りで発行された。

このニュースが衝撃を与えたのは社債発行で得た現金の使い道であった。同社は47億5000万ドルを、株式の買取(自社株買い)と配当の増額へ使用すると発表したのである。


《低利の借入で高利の自社株を買取り、WACCを下げる》


企業が社債を発行し、その資金を事業拡大に使用せず株の買取に使用するとはどういうことなのか? これには、2つ考え方があると言われている。

1つ目は、企業が「株価が割安に評価されている」と考えている場合である。

株式市場の自社に対する評価が低いと感じている場合、自社株買いを行うことで、株式が割安であることを投資家にアピールすることができる。


2つ目は、企業が「市場に投資家の要求利回りを上回る投資機会がない」と考えている場合である。

この場合、安い金利で市場から借入を実施し、高い要求利回りの株式を買い取ることで、その企業全体への要求利回り(WACC)を低下させることができる。

企業にとっては高い要求利回りの株主の株を買い取るため、高い買い物ではあるが、その効果として低い市場の収益率に企業の実態を合わせることができる。


《金利の低下局面では、財務活動による経営効率化が活発となる》


金利が低下すると、企業の資金調達が活発となり、企業の設備投資に回り需要を生み出し、需要が雇用を増やすというのが経済学の教科書に書いてある一般的な流れである。


しかし現実には、低金利であっても、市場の成長が期待できない環境下では、企業は雇用拡大や工場の建設といった自前での事業拡大より、財務活動による経営効率の向上を選択してしまうのである