来月、5月10日には、フィリピンで選挙がおこなわれます。

現在何人かの候補者がいますが、この日当選した人が現アロヨ大統領の次いて、第十五代目の大統領になります。この日はジェネラルエレクションと言って、大統領だけでなく、セネターや、ローカルの選挙も行われるフィリピンのこれからにとって大変重要な日になります。

この日は何が起こるかわからない、Xデーとして、外国人駐在妻Cナは外に出ないようにと注意、警告を受けています。

私は今まで発展途上国に住んだことがなく、フィリピンが初めて生活をした発展途上国です。 先進国と発展途上国の違いは、目に見える物質的なもの、目に見えない非物質的なものが数々あります。概して私のブログでは、きれいで、楽しい、どちらかというとフィリピンでの生活においては富の部分にフォーカスを当てていることが多かったのですが、Ostrich head in the sandというアプローチを私は取らないので、今日はフィリピンのものすごく大きな貧富の差、貧の部分をご紹介したいと思います。

私は生まれて初めてフィリピンに入国し、マニラを見たとき、マニラの大きな問題の一つスラムの存在に驚きと大きなショックをうけました。マニラではスラムはスクワッターと呼ばれることが多く、ここには不法に他人や国の土地に住まいを作り、非衛生的な場所で多くの人たちが生活をしています。

このスクワッターは、マニラに数多く存在するうちの一つですが、私は個人的に見てまだ整然とした、綺麗なものだと思います。 以前川の中に落ちてしまいそうなスクワッターが数多く密集していたので、一部リセトルメントがあったのかな?とドライバーのC君と話していたところです。スクワッターの多くは川の近くに存在し、その理由として生活必需品の水の確保がしやすいという点が挙げられます。 このように不法に作られたスクワッターには先進国で生活する上で必要とされるインフラストラクチャーの水、電気、排水下水のシステムは、もともとはありません。 電線、電気が通っているとすると、近所の電線から無断で引いてきたものが多く、不法な電気の使用です。そして、不法な電気入手の方法も正規の方法ではないので危険が伴います。つまり命がけで電気を確保しているのです。

Greetings from Manila -駐在妻ののんびり日記-
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洗濯はこのように外で、ここに流れているとても不衛生に見えるどぶ川から持ってきたのかどうかわかりませんが、水道がら直接取って着ているのではない、どこかから持ってきた水で手で行い、そして水を垂れ流しにしていました。 ここのスクワッターの中に入ったことがないので、中の設備や様子がよくわからないのですが、川沿いのスクワッターの場合多くがトイレの排泄物を川に流す、その川の水で体を洗う、その水で洗濯炊事をするなど、とても非衛生的な生活をする場合が多いそうです。

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ここはものすごく黒い煙をもくもくと吐いて走るジープニーも通る道なのですが、その排気ガスだらけの道に面した不衛生な場所に洗濯ものが所せましと干されています。

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4月のフィリピンはとても暑い日が続く乾季で、外の気温は40度近くという日はめずらしくありません。 そのようなトロピカル気候の中で、スクワッターで暮らす人々の子供たちは靴はもちろん下着も付けず丸裸でいることを多々見かけます。 マニラに来た当初はものすごく驚いて「どうして服を着ていないんだろう?どうして靴を履いていないの?危ないじゃない?」と思い、驚きとショックで、ずっと長い間この光景が頭に鮮明に焼きつき、離れませんでした。

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少し大きくなった子供は洋服を着ていますが、どのくらいの年齢から洋服を着るようになるのでしょうか? まだ私にはわかりませんが、この写真の子は女の子で上しか洋服を着ていません。このような子供がスクワッターエリアにはたくさんいます。
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もうひとつフィリピンで驚いたことは、このような極貧の生活をしているのに、人々がこの上なく明るいことです。カメラをむけると明るくポーズをとってくれる人々が多く、なぜかピースサインをしてくれます。 以前もお話をした台風の被害が会った時も、家族が亡くなり、怪我をして、すべてを失っていたどん底時も、海外からの援助チームに対して、この写真のように明るくそしてカメラを向けるとピースサインをしていて、海外援助チームはひどく驚いたと聞きました。 以前援助に行ったチームの方々がスピーチをしてくれる会に以前参加する機会に恵まれた時に、このお話を聞きました。

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よく見えないと思いますが、この女性も子供を上にあげてポーズをとってくれています。とっても親切です。
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このようなスクワッターで極貧に暮らす人たちはどのように暮らしているのでしょうか? フィリピン、そして首都マニラでの大きな問題の一つ、雇用の問題がありますが、大半の仕事ができるであろう年齢の多くの大人、特に男性が日中からぶらぶらとしています。みんな仕事がなくて失業中だからです。私の身近なところで知る限りでは、我が家のドライバーのC君のおじさまがマニラ近郊の某工場でマネージャーをしているのですが、そこの工場では多くの従業員を、人材が多くいるスクワッターエリアより募集して、トレーニングを与え、採用しています。バスを出して、多くの場合交通費も持っていない彼らがちゃんと通勤できるようなアレンジもしているそうです。とっても働き者で、よくやっているとおじさまはスクワッターの人々を高く評価しているそうです。でも、本当に数多くありすぎるスクワッター、すべてのスクワッター失業者がC君のおじさまの工場のようにトレーニングをしてもらえ、交通の便も確保してもらえるわけではありません。以前このブログでも紹介したDちゃんの弟もケソンのスクワッターにガールフレンドと住んでいました。彼は仕事がなく、あまり仕事を探す気もないようだとDちゃんはいつも頭を悩ませていて、お金を稼いでいる姉Dちゃんのところにやって来ては「お金ちょうだい」とお金をせがみ、生計を立てている、つまり、大家族の多いスクワッターでは、家族の中の稼ぎ手からお金をもらって助けてもらって生活をしていることが多いそうです。 ゆえにこのエリアでは本当に数多くの平日のビジネスアウアーでも大人を多く見かけます。また、ローカルのアッパーミドルクラスの知識層から受けた説明によると、こういったスクワッターエリアでは大人に時間があるがゆえに子供を無計画に数多く作ることが多く、もしくは子供を産んでその子供にお金を稼いできてもらうという目的の大人もいるそうで、子供の数が日本や他先進国でみる子供の数と比べ物にならないほど、ものすごい数の子供が見受けられます。
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このスクワッター密集地には、やはり治安が良くないので、このように警察の姿をよく見かけます。

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外国人が多く住んでいる私が住む地域ではあまり見かけませんが、ここローカルの人がたくさん住んでいるエリアでは、選挙が近いためこのような選挙のポスターが数多く電線から下げられたり、家の壁に張られたりしています。 この建物の後ろにはスクワッターが数多く存在するとC君に教えてもらいました。ここはマラテというマニラの中でも歓楽街として有名な場所の一部なのですが、この地域の北部のこの写真のエリアよりもかなり裕福な地域に彼は長年住んでいるので、教えてもらいました。

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このバスのような乗り物はフィリピン名物ジープニーという地元の人々の足です。外国人が乗っている姿はまだ私は実際に自分の目では見たことがありません。マップもなく乗り方が全く分からないし、ほこり、黒い煙がもくもくとしている排気ガスまみれのマニラの道で呼吸器系の弱い私は、まだジープニーにトライしたことがないのですが、マニラを去る前には一度はトライしてみたいなと思っています。 ここの電線からも数多くの選挙ポスターがぶら下がっています。
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この近所の電線。真っ黒で数多くの線が目に見えてどーんとあるので、私はちょっと怖いなと最初思いました。ここと同じような発展途上国カリブ海のドミニカ共和国でも首都圏でこのような電線を見ました。 線が切れたり、感電すると命取りになる危ない電線です。
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こちらは地元の人がよく乗っている乗り物たしかトライシクルです。こちらもまだ私は乗ったことがないのですが、是非一度チャンスがあったら乗ってみたいと思っています。地元の人はタクシー代わりに利用している人気の乗り物です。

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ここは、C君もよく利用しているCanteenという街角の小さな食堂です。サリサリストアーという小さな街角の商店と同じく、外国人が数多く住んでいる地区ではあまり見かけませんが、マニラで多く見かけます。こちらも両方まだ一度も利用したことがないのですが、どんなものが売っているのだろうと興味があるので、今度安全が確認できる場所で行ってみたいと思っています。

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サリサリストアー
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こちらはこのスクワッターエリアの近所にある、私も利用している新鮮で種類が豊富なフルーツたっぷりのフルーツマーケットです。裕福なローカルマダムがメルセデスベンツで買い物にくる光景も見かける綺麗なマーケットです。ただ、治安が心配なので、私は必ずリスクマネージメントをしていきます。
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ここにもローカル愛用「タクシー」トライシクルが走っています。

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平日の日中も夜もよく見かける大人が周りにいない、皆で楽しそうに遊んでいる数多くの子供たち。レメデイオスサークルという公園です。

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このあたりもスクワッターが数多く立ち並ぶ地域です。ぼろぼろの建物に、平日の日中にぶらぶらしている大人、夜11時過ぎになっても裸、下半身裸の小さな子供が走り回っている光景を目にします。

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こちらは政府が用意をした、スクワッターに住んでいたような低所得者が住む政府が用意したプロジェクトです。かなりお得な家賃で入居できるそうです。でも、窓ガラスがない部屋が多く見えます。上述のDちゃんは、田舎から出てきて田舎の家族全員、ケソンのスクワッターにいる弟の生活も助けるために女性専用ベッドスペースというところに住んでいました。私は中に入ったことがないので、中の様子は知らないのですが、小さな部屋にベッドがいくつもあり、キッチン、トイレは共同。自分のスペースはベッドと小さなクローゼットのみというグアダルーペという駅の近所にあるベッドスペースに1月3000ペソほどで生活していました。 だったら部屋がひとつもらえるし、この下の写真にあるプロジェクトのほうが良いのではないかと思ったのですが、ここに入居するには収入制限があり、彼女が仮にこのようなプロジェクトに住む意思があったとしても、彼女はお金を稼ぎすぎているので、ここに入居する資格がもらえないそうです。

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このミュージックヴィデオは以前にも紹介したフィリピン出身のスター、私も個人的に大好きなバンドBlack Eyed Peasのメンバーのアップル君の歌なんですが、この中で彼はフィリピンの民族衣装を身にまとい、可愛いドーリーの上にのったアルバムをめくりながら、彼の人生を(Ang Buhay Koというのはフィリピン語で(タガログ語?)マイライフという意味だそうです。(C君翻訳より))ヒップホップのラップで表現しています。フィリピン語の部分はよくわからないのですが、この歌の中で彼は貧しかったアメリカに養子として迎えられるまでのアンヘレスでの少年時代、自殺した兄弟のことを歌っています。ヴィデオの中に彼のフィリピン人のお母さん(お父さんはアフリカ系アメリカ人)が出てくるのは私は必見だなと思ったのですが、もうひとつの必見のところは彼の少年時代、貧困時代の彼の田舎の暮らしです。ぼろぼろの家、牛を使った田舎での農業の光景。彼はジープニーにのって学校に通い、農業を手伝っていたので、ここの映像にも反映されているのですが、「獲物を捕まえてそれを食事にする(スーパーやデパートなどで買ってくるのではありません。食事のための狩りをするのです)」、「水を汲んで持ってくる」、「Hut(粗末な小屋)を作ってそこに寝泊まりする」とまさに田舎のスクワッター(彼は英語で歌っているのでゲットーと言っていますが、同じことです)で暮らすことを「もし、自分が(歌を聴いているあなたが)そういう暮らしをするなら、どう感じますか?」と歌っています。



彼はアメリカに養子に行き、必死で勉強して英語を覚え、頑張って、アメリカンドリームを手に入れたフィリピン人の一人です。現在移民国家アメリカでは公用語の英語が広く使われていますが、第二にスペイン語圏からの数多くの移民がいるためにスパニッシュチャンネルも数々登場し、地域によっては英語よりもスペイン語が多く聞こえると言うスペイン語が広く話されています。その次の第三の言語はなんとフィリピン語なのです。それほどアメリカに移民しているフィリピン人が多いと多いということを示しています。 

フィリピンには海外に出稼ぎに行く人が数多くいます。私の身近な所でもC君の家族のうち半分以上は出稼ぎ、もしくは海外に移民をしています。Dちゃんもお姉さんがアメリカに養子に行きました。我が家のおそうじのおばさんの夢は「アメリカに移民すること」。以前アメリカの支配下にあったフィリピンはアメリカに行けば生活が豊かになるというアメリカンドリームを持った人が多くいますが、私はまだそういう人にあったことがありませんが先進国日本も「出稼ぎ、移民したい」という国のなかでとても人気があるそうです。フィリピン人にとって永住権が比較的取りやすいと言われているカナダ、オーストラリアも人気だそうです。

なぜこれほどの多くの国民が「外国」に対して憧れ、国内ではなく「海外」で働きたいと思っているのでしょうか?それは国内に多くの問題があるからです。

長年独裁主義国家だったフィリピン、大の汚職国家としても有名です。いつも大渋滞のエドサ通りは救急車が通っても車はよけてくれないのに、どこかの政治家の大名行列のときは警察の車が何台もまわりに警護にあたり、警察を使って他の車を止めて、レーンを独占して走っているのを見てことがあります。 選挙の前になると、選挙活動の一環として一部の公務員の人達のお給料を上げたり、お給料が安くてやめていった元公務員をわいろで引き戻そうという政治家もいるそうです。身近なところでこんなにもと思うほど、ローカルや駐在妻から汚職の話をよく聞くスーパー汚職大国フィリピン。いったいいつになったらこのような数えきれない問題は解決するのでしょうか?

デモクラシーの母と言われてフィリピンの多くの国民に愛されたアキノ元大統領
。「ノイノイ」の愛称で国民に絶大な人気があり親しまれている、アキノ元大統領の息子アキノ氏。 この5月10日の選挙で大統領候補として立候補しています。 タイム誌も彼を表紙に飾り、この選挙に注目しています。
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(Wikipediaより)

このフィリピンに引っ越してきて、交通渋滞、貧困、汚職、高い犯罪率、など、この国に存在する数多くの問題を実際の目、メデイアから、実際にローカルの人から聞いたりと経験してきました。


なぜ昔はアジアで一番と言われるほど発展していたフィリピン、マニラがどんどん周りのアジア諸国に経済が追い抜かれ、今では近隣のアジアの発展途上国、新興国からも「汚い、危ない」などとレーベルを張られるようになってしまったのでしょうか? この国にいるだけでは明るい未来を感じられないので、家族の何人かが外国に出稼ぎに出かけないといけない状況はいつまで続くのでしょうか? 最近もフィリピンの南部では恐ろしい事件が起きましたが、いつになったら南部の治安は改善されるのでしょうか? 南部だけでなく、私自身も住んでいるルソン島マニラも治安の悪い地域は数多くあります。 イタリア系だった前ジュリアー二市長(前大統領候補)がマフィアを一掃、治安回復に全力を尽くし、悪名高かったイエローキャブも今ではかなり安全で観光客や外国人にも優しくなったニューヨークのようながらりと変わる治安改善は、マニラに期待できるのでしょうか?

この国に深く根付く問題はいったいどこにあるのでしょうか?

この選挙でフィリピンががらりと変わることは期待できるのでしょうか?

5月10日に行われる選挙。外国人である私にはこのフィリピンで5月10日に行われる選挙にたいする選挙権はありません。でも、今日お話した数々の問題が少しでも緩和、解決され、貧富の差が少なくなり、数多くあるマニラ、フィリピン全土の問題が少なくなり、治安の良い、住みよい、国民が将来への希望をもって暮らすことができる民主主義の国家が誕生することを期待します。

そして、誰かが血を流すような選挙にまつわる事件、暴動やどこかの建物に占拠、人質を取った立てこもりなど恐ろしい事態が起こりませんようにと、この日マニラにいる予定の外国人の私にとっては祈るばかりです。
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