行政上の強制措置
事案
地方公共団体Xの長が
当該市パチンコ店等、ゲームセ ンター及びラブホテルの建築等の規制に関する条例(昭和58年)8条に基づき
当該市内においてパチンコ店を建築しようとするYに対し、その建築工事の中止命令を発した。
Yがこれに従わないため、XがYに対し同工事を続行してはならない旨の裁判を求めたもの。
争点
地方公共団体が国民に対して、行政上の義務の履行を求める訴訟は許されるのか。
ここで法律、裁判所法、初めて見ます。
裁判所法
第3条
(裁判所の権限)
裁判所は、日本国憲法に特別の定のある場合を除いて一切の法律上の争訟を裁判し、その他法律において特に定める権限を有する。
法律上の争訟とは
当事者間の具体的な権利義務ないし法律関係の存否に関する紛争、かつ、それが法令の適用により終局的に解決することができるものに限られる。
行政上の義務の履行に関しては、
・法規の適用の適正
・一般公益(公共の利益)の保護
を目的とするもので
行政代執行法では、その具体的な方法として、代執行のみを認めています。
また、行政事件訴訟法その他の法律にも、行政上の義務の履行を求める訴訟を提起することを認める特別の規定は存在しない、と言っています。
ですので
法律に特別に規定されている場合を除いて、このような事案は、裁判所の審判の対象とはならない、となります。
行政側は、裁判所の審判を頼っての提起だったんでしょうね。
当該条例に罰則規定を設けても、実際には限界があるようです。なかなか、難しい問題ですね。