(前回は>>>こちら。)



さあ、準備は整った。

あとは、この青空の中を

白球がスタンドにむかって

放物線を描くだけだ。






長男の投げた第4球目は

すーーっとホームベースの

外側を通り過ぎた。





キャッチャーのミットに

ボールが収まったのを

見届けた次の瞬間。








ストライークっ!!!








(あっ!…)








ちいさくガッツポーズする長男。

バットを握ったまま、動けない私。





少し間があいて、ベンチに戻ろうと思ったが、

一応、「入ったあ?」と球審に聞いてみた。


天を仰いでから、もう一度

「あれ、入ってた?」

と再確認した。


どうしても、その場から離れられず、

もう一度「ほんと?ウソだらあ?」

と言ってみた。

知り合いだからなんぼでも言える。






「入ってましたよ、ぜったいに」






力強い球審の言葉で、

ようやく諦めがついた私は

ベンチに下がった。



「往生際、悪いぞ!(笑)」

オヤジたちにからかわれて、

(ちょっとおいしいな)

正直思った。














試合終了後の慰労会でも

大ファールの話を何度もしてもらって

野球小僧に戻った私はご満悦でした。


「あと、4、5メートルだったな」

「その4、5メートルがプロと素人の

違いだわい」





慰労会から帰ると、一足先に帰っていた長男が

居間でゲームに高じていました。


「ただいまあ」

「お帰り」


こっちを見ようともせん。





「最後のコース、狙ったか」

「いや…」


素っ気ない返事の長男。




「手が出んかったわ」

「………」


返事もない。









でも、打ってもファールになるコースでカウントを稼いで、

インコースのボール球を見せて最後は外で勝負か。

王道だけど、いい配球だったな。

ほんとに狙ったのか?まさかな。






手加減なんかしなくても

子供はいつか親を越えてみせる。


やっぱり、いつでも真正面に向きあって

全力を尽くして一生懸命やることが

親の務めなんだと思った。







帰ったあとも勢いが止まらない私は

缶ビールをもう一本空けた。

打ったときの手のひらの感触を

思い出しながら。





でも、結果的に

長男は私を打ち取ることができたし、

私はファールにはなったものの、

忘れられない打球を打つことができた。


おたがい、気持ちよく野球をやれたかな、と。









あ!

これは野球の神様だ。









野球の神様が勝ち負けをつけずに、

半分ずつのご褒美にしてくれたんだ、

きっと。








これだから、野球はいいねえ。








ケアマネの正しい歩き方  ~ケアマネタマゴに贈るケアマネ道!~






(おしまい。)





「記事、よかった!」という方、クリックを。

   ↓↓↓           ↓↓↓
正しいケアマネの歩き方  ~ケアマネタマゴが贈るケアマネ道!~-ブログランキング にほんブログ村 介護ブログ ケアマネージャーへ